第84回  「闘魂スタイル」に警告書

プロレス団体「NOAH」に所属していた中嶋勝彦選手が同団体を退団し、フリーとなった事はネットニュース等で知っていました。彼とは同団体の選手らと何度も食事をしていたので、全く知らない関係ではありません。私がNOAHプロレスを観戦すると、本人から毎回ショートメールが入り、律儀な選手でした。
その中嶋選手が昨年末に突然「闘魂スタイル」という言葉を標榜し、全日本プロレス団体のリングに上がっていました。彼自身、NOAH選手時代には独特のキャラクターを作り上げ、自己プロデュースが上手くいっている選手だと思っていたので、「どうしたの」という感覚で見ていました。新日本プロレスを退団したオカダ・カズチカ選手は事前に私に挨拶がありましたが、あれほど律儀な中嶋選手からは退団の報告はありませんでした。
ただ、「闘魂スタイル」を表明するのも短期間の話だろうと思っていました。
ところが「中嶋選手=闘魂スタイル」のようなキャラクターに変えて、全日本プロレス団体のリングに上がり続けていました。しかも、昨年大晦日に開催された全日本プロレスの国立競技場・第2体育館の会場で、どうした事かアントニオ猪木のテーマ曲である「炎のファイター」を流し、更にリング上で「1・2・3、ダァー!」をやったとの事で、ちょっとしたざわつきが起こりました。とは言え、私がその会場にいたわけではないので、知る由もありません。ただ、あちらこちらから「湯川会長は知っているのですが」とか、中には「湯川会長がさせているのですか」等と連絡が入ってきました。

私は、まさかアントニオ猪木の代名詞である「闘魂」という言葉をプロレス業界の中で使うのは、猪木自身が創業した新日本プロレス以外あり得ないと思っていました。なので、悠長な気持ちでこの流れを見ていましたが、まさかまさか、ふと「闘魂スタイル」の商標登録をしている事はないだろうか、と思いました。これは、虫の知らせと言うより「天国の猪木」からの知らせ、と今でも思っています。
調べてみると、想定外の出来事を目にしました。まさかまさかの出来事が起こっていました。
なんとした事か、昨年11月に全日本プロレス株式会社が「闘魂スタイル」の商標を出願しているではありませんか。これが全くの第三者なら分からない事ではありません。事もあろうに、全日本プロレスがしているという外道の仕業です。勿論、これに関しては商標登録を管理している会社が既に「同出願を拒絶」する手続きを取っています。

全日本プロレス会場にて「闘魂スタイル」を標榜している中嶋選手らに対し、全日本プロレスの選手やフロント及び全日本プロレスOB選手、更に全日本プロレスのファンの人達も拒否していると聞いています。馬場家にとっても面白い話ではないと思います。理解しがたい話です。
にもかかわらず、何故このような事をしたのか分かりません。これが新日本プロレスや新日本プロレス所属の選手がした、と言うならば理解の範疇に入ります。勿論、彼らは「猪木元気工場」に事前連絡をする事でしょう。しかし、中嶋選手は猪木となんの系譜もありません。
猪木と盟友であり、永遠のライバルとしてプロレス業界をけん引してきたジャイアント馬場が創業した全日本プロレスに「闘魂スタイル」を登場させる事は、アントニオ猪木やジャイアント馬場をいじっているようにしか見えません。
私は中嶋選手をよく知っていますが、そのようなルール違反という行儀の悪い事をする選手ではありません。中嶋選手は、確か男子レスラー史上最年少デビューとして、15歳の若さでレスラーになったと記憶しています。その彼がそのような常識外れな事はしません。
ならば「闘魂スタイル」を申請した全日本プロレス、即ち経営者が入れ知恵したのでしょうか。余りにも下品で、質の低い話であります。とは言え、そのまま放置する事はできない為、1月末付で全日本プロレス及び中嶋選手に猪木家及び猪木元気工場の顧問弁護士より「警告書」を提出しました。今後、相手の出方次第では徹底的に「叩く」所存だ、との方針を確認しています。

「闘魂スタイル」騒動。
多分、天国の猪木は間違いなく「中嶋選手って誰」と言っているに違いありません。
そして「馬場にも悪いぞ」と言っているはずです。

次回、2月7日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)

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