第21回 猪木から影響を受けた青年達 その1

私が猪木に関する事で動いている事は、大きく3つあります。
1つは、猪木本人からの依頼です。
既に掲載済ですが猪木の3つの依頼(「人プラ」第526回:猪木からのメッセージ)がそれに当たります。
「悲惨な部屋から脱出したい」等、生前からの約束に向かって動いています。
3つ目はまだ解決していません。詳しい内容はここでは控えますが、準備が整い次第、動きます。
猪木との約束だからです。

2つ目は、猪木家からの依頼です。
お通夜・葬儀告別式から四十九日法要、そして3月7日に行なわれた「お別れ会」。
後は1周忌法要とお墓の建立はこれからの動きです。

3番目は、私自身が勝手に動いている事です。
勿論、私一人ではなく多くの方の協力を得て行なっている「アントニオ猪木に国民栄誉賞を授与させる会」に関する動きです。新日本プロレスやノア・全日本、その他各団体の皆さん方のチカラを借りています。そして忘れてはならないのが猪木ファンの皆さん方の署名運動です。
出来得る事を精一杯やって、悔いを残さないように動きます。

さて、本日は猪木自身や猪木家、更に私自身が勝手に動いている事とは全く違った事ですが「行き掛かり上、動いている」事についてのお話です。そういう意味では4番目なのかも知れません。
「猪木が残した子供達」とでもいうのでしょうか。
猪木が生きていたならば本来、猪木自身、面倒を見なければならない子供達の話です。
そのように書くと、何か物騒な話になりますがそういう話ではありません。
正確に言えば、彼らは既に青年です。その一人が本日お話しするハルン君です。
元々ハルン君に対しては、私は全く面識がありません。彼の存在は、アントニオ猪木の元マネージャー 宇田川氏から昨年末に話を聞いて知りました。

猪木ファンの皆さんなら、ご存じの話かもしれません。
以下の話は宇田川氏からの話です。
この話は、1976年6月の「猪木VS モハメド・アリ」戦がきっかけとなっています。
アリと引き分けた猪木に対し、パキスタンの英雄であるアクラム・ペールワンが挑戦要求。
1976年12月、「猪木 VS アクラム・ペールワン」がパキスタンで実現しました。
試合結果は猪木がアクラムの腕を脱臼させ(一部では骨折の説)、ドクターストップになりました。
パキスタンの英雄が敗北した事で会場は騒然となり一発触発の状況になりましたが、観衆はその後、猪木の強さを認め、猪木を英雄として讃えたと聞いています。
それは同時にペールワン一族の存亡の危機をも意味しました。
対戦から2年後、アクラムが急死し、一族の仇を討つべくアクラムの甥、ジャラが猪木に対戦を挑みます。1979年6月、「猪木 VS ジャラ・ペールワン」戦がパキスタンで実現しました。
試合は引き分けでしたが、猪木がジャラの手を掲げ彼を讃えた事で試合会場は大いに盛り上がり、更に猪木の人気が沸騰。この猪木の行動により、一族の面目は保たれました。
1984年に新日本プロレスがパキスタンに遠征。しかしその後、パキスタンのレスリングやペールワン一族は衰退の道を辿ったとの事です。
2012年。猪木はアクラムやジャラの墓参りを兼ねてのIGFパキスタン遠征を実施。
この時、ジャラの甥にあたる一族の息子、ハルン君と巡り合います。
ハルン君の父親は猪木に「ペールワン一族の復活をハルンにかけたい。猪木さんに預けて強いレスラーに育てて貰いたい」と要請。猪木はこれを承諾したとの事です。
この話はファンの皆さんなら既にご存知の話かもしれませんが、何か映画のストーリーのようです。私もワクワクしながら、話を聞いていました。
それから2年後の2014年。ハルン君は日本語が全く出来ないまま14歳で来日しました。
猪木は日本体育大にその事情を説明し、協力を求めました。それによりハルン君は全額奨学金で寮生活をしながら日本体育大付属荏原高校に留学が決まり、2015年に日本体育大柏高校に転校。
更に2018年、日本体育大に入学。2022年3月卒業予定でしたが、奨学金受給の期限が切れました。コロナによって帰国が延期となり、彼は途方に暮れていました。
そんな中で日本の父親代わりの猪木の死去が伝えられた訳です。

昨年末、宇田川氏から今までの経緯を説明され、その間プロレスリング・ノアの協力もありましたが、今年から何とかハルン君の生活の面倒を見て貰いたいとの事でした。私は経緯を理解し、猪木に代わる日本での親代わりは、私以外いないと判断しました。
ハルン君本人は、パキスタン代表のレスリング選手として2024年パリオリンピック出場を目下の目標としており、来春に向けて頑張っています。
この3月にようやく単位も取れ、無事大学を卒業したと流暢な日本語で連絡がありました。

「天国の猪木さん。猪木さんに代わってしっかりとハルン君の面倒を見ていますので天国からもオリンピック出場出来るよう応援してあげて下さい」

次回、5月5日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)

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