代表取締役 湯川 剛

大阪梅田の阪急三番街に紀伊国屋書店がオープンした当時の事です。私はそんな大きな書店に入った事もなく、何を買ったらいいのかも分かりませんでしたが、まずはそこへ行かなければと思いました。これは今も若い社員に話す事ですが、勉強しようと思っているだけではダメで、その為にはどのような本を読むかは別にしても、その環境に身を置く事が大事である、つまり「まずは本屋さんへ行きなさい」という話しをします。

さて話は戻りますが、店内は新規オープンで人がいっぱいでした。あまりの多さに気おされて「帰ろうかな」と思った程でした。しかし次々と来るお客さんの流れに押されどんどん前に進んできました。

目当ての本を買いに来た訳でもなく、ただ漠然と店内に入ったのですから、全く訳が分かりません。「マネ―ジメントに悩んでいる方へのコーナー」なんてものはありません。「管理者初心者コース」等の本はあったかもしれませんが、とにかく本のタイトルをただ見つめているだけで、手を出して本を取り出す事もありませんでした。

そんな私が吸い込まれるようにして、無意識の内に手を伸ばした1冊の本がありました。後年、社員に「その本に呼ばれるようにして取り出した気分だった」と表現していましたが、大げさではなくそれくらい感動した本です。その日はこの本以外に1冊も触れませんでした。

その本は今も私の手元にあります。『信念の魔術』(著者:クラウド・M・ブリストル)です。改めて見ますと、当時で320円、ダイヤモンド社から出ています。今でも十分に通用する本だと思います。

その本は私自身が今まで全く出会った事のない言葉のオンパレードでした。(当時はほとんど本を読んだことがなかったので、もしかすればどんな内容でも出会った事のない言葉かもしれませんが・・・。)潜在意識とは何か、暗示は力だ、イメージが潜在意識を躍動させる、思いは実現させる・・・。

私は立ち読みなどしたことがありませんでした。一度もありませんでした。それは本屋に行った事がないからです(笑)。しかしその時の私は何を思ったのか、ドンドン読み進んでいました。50ページほど読んだところで興味のある言葉に赤ペンで記入しようと思って、改めて自分は立ち読みをしている立場であると知ったほどです。その本を何の迷いもなく手に取り、レジに持って行きました。1ページから261ページまで、書かれている全ての言葉がまるでスポンジが水を吸うかのように、私の中に入ってきました。

以降35年以上経った今も、私は261ページの中身において否定する箇所は一つもありません。むしろこの本に書かれていた内容の通り実現した事はこの35年間に幾つも体験しました。「思いは実現する・・・」まさに潜在意識が念いの状況を引き寄せるのです。(『信念の魔術』では、「思い」と表現していますが、むしろ内容からいけばイメージも浮かぶ「想い」であり、更にエネルギーになる「念い」が適切な表現だと思います。)

(次回に続く)

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