代表取締役 湯川 剛

今回の問題のそもそもの原因は、ストレステストをしっかりとしていなかった事に尽きます。私がこの「人プラ」にこのような内幕を掲載しているのは、「2度とこのような過ちを犯してはいけない」という思いから、あえて公開しています。「経験をしなければ分からない」という問題ではなく、多くの前例があるにも関わらず、何故それに気が付かなかったのか、という事です。さらに、私たちのミスは「大手乳業が関わりあっているから問題ないだろう」という大きな錯覚です。私は今回の問題で、神様から色々な教えを学びました。「食」業界は初めてなので不慣れな点が多くありましたが、色々な事を学びました。その第1は「食の安全・安心」です。このカビが身体に悪影響を及ぼす事はない、との第一報を受け、まずは安心をしましたが、だからといって許されるものではありません。
次に、「人」について学びました。問題が起こった時、共に解決するために動いてくれる人や「本部の指導に従うので、何でも言ってほしい」と言ってくれる方々の信頼の重さも学びました。前回にも掲載しましたが、2人のオーナーからの執拗な口撃が、しかも毎日のように来ることに、正直「まいったな」と思う事もありました。しかし、その都度夜中や朝方でも対応できる自分への新発見もしました。もちろん、2人のオーナーには何の問題もありません。このようなお2人がいた事が、私の新発見に繋がったわけです。
「人」について学びました、と書きましたが、別の意味で呆れながら学んだ事もあります。特に印象的だったのは、5月14日の会議での出来事です。それは、3日後に控えた「全国一斉の発売」をどうするのかという決断するべき、非常に重要な会議でした。既にメディアでは発表しているわけです。9時から始まったこの会議は、その後の新製品の方向性を決める大事な日でした。ここで私が、「まいったな」と苦笑するような出来事がありました。これは製品責任者が不在との事です。私はどうして責任者がいないのかと質問したところ、責任者が運営しているお店が札幌で新規オープンのため参加している、との事です。私が前面に出て解決している事に安心したのか「気楽なポジションにいるな」と、その日の日記に書いたほど呆れていました。
しかし、こんな重大な問題を学ぶチャンスを逃した事は、実のところその人にとっては大きな損失です。また、この商品開発にはもう1人の責任者がいます。彼の影響でこの商品は出来たものです。
この2人の責任者がストレステストを実施していたら、このような問題は起こりません。ちなみに、弊社の社員ではありません。その彼が、商品の不具合の対策として「本日、大手乳業の系列社長を呼んでいるので値段交渉をする」と言った事に、私は唖然としました。まさに本質を外した話であり、二度とこの方とコラボしてはいけないと思いました。
現状、カビ問題でどれだけ多くの方にご迷惑を掛け、数日後に迫った発売をどうするのか、という重大な事を分かっていなかったわけです。

いずれにせよ、5月14日の日記に赤ペンで「決断の夜」と書きました。
翌日、銀座に志かわの全営業対象のオンライン会議にて、今回の製品に関する問題の経過を改めて説明し、当面の第一次「発売記念」は全面中止とし、一般発売を5月17日から6月17日に延期。さらに、従来「常温」製品としていたものを「要冷蔵」製品に切り替える。そして、全店舗に冷凍冷蔵庫を無償提供する、と決めました。

私にとって非常に貴重な1か月間の学びの場でした。同時に睡眠不足の1か月間でした。

そして6月17日。予定を上回る予約をいただき、順調な発売となりました。
確か、2店舗だけが扱わない、という報告が入りました。


次回、11月1日に掲載します。

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