代表取締役 湯川 剛

「食」における一つ一つの販売方法のノウハウを構築していくわけですが、その際は必ず私自身が率先垂範するようにしています。前回の「催事販売」で自らJRに出向き、「駅ナカ催事」を実現した事もその具体的な事例です。今回は「法人営業」についてお話したいと思います。

2018年春。株式会社銀座仁志川を設立しました。その設立当初から銀座仁志川には「3つの価値」(第555回 銀座仁志川の「文化作り」 2023年7月20日掲載・第556回 暖簾に3人の思い 2023年8月1日掲載)という基本方針があります。
その3つの価値の中の1つに「使用価値」があります。当初より「銀座に志かわ」食パンを贈答・お土産市場に向けて商品づくりをしていました。この贈答・お土産市場に向けての法人営業はどちらかと言えば得意分野です。なにせOSGは創立以来、開拓営業にて50年間培ってきたノウハウがあります。
言い換えれば、「水関連機器」を「食パン」に置き換えるだけです。
OSGの企業文化として「市場はあるのではなく、創るものである」(第61回 市場とは存在するものではなく、創るものである 2007年7月1日掲載)の教えを徹底していますので、「食パン市場」を「贈答市場」として構築していく際に、この法人営業が重要になります。

調べたわけではありませんが、おそらく日本の食パン専門店を含むベーカリー業界の中で、「法人営業」をしている企業として弊社はトップグループに入ると思っています。オープン当初は店頭販売だけで手が回らない状況で、「法人営業」に割く時間がありませんでしたが、落ち着いてきた段階でいよいよ「法人営業」の力が発揮します。得意分野と言いましたが、やはりここは私自身も率先して法人営業に取り組みました。幸いにも「食パン」は大変売りやすい商品です。お子様からご年配の方まで幅広い層に親しまれていて、「食パン」そのものが日本の食文化に深く定着しています。それだけに改めて説明する必要はありません。
もし、加盟店様の優劣を決めるならば、この「法人営業」における優劣だと言っても過言ではありません。加盟店契約の時も「3つの価値」をお伝えし、「法人営業」についても説明していますが、それを実行される加盟店様とされない加盟店様とで、優秀加盟店である優劣がつきます。
さて、私が開拓した1つの事例を掲載します。ある政治家の政経パーティーへの参加依頼のハガキが届きました。私は早速、事務局に連絡し、「お土産は決まっていますか」と尋ねました。男性職員の方が「まだ決まっていない」との返答があり、食パンをお薦めしました。スタッフの方から販売価格を聞かれ、「先生に確認します」との返事でしたが、翌日「予算より高いので採用できない」との連絡がありました。私は内心「参加料数万円と比較すれば、1000円はそれほど高くない」と思っていましたが、相手の事情もあるのでしょう。
ところが、さらに翌日、スタッフの方から「500本を用意する事はできますか」と連絡がありました。一度断られたのにご注文を頂いたのでその理由を尋ねると、先生の奥様が「銀座に志かわの食パンが500本も納品してもらえるのか。もし納品が可能なら注文しなさい」との一声で決まったらしいです。前回の大手私鉄会社の女性スタッフのお話と同様、どちらかと言えば男性より女性の方が「銀座に志かわ」ブランドを認識して頂いています。パーティー当日、受付横にズラリと並んだ500本の銀座に志かわの紙袋は壮観でした。参加者の特に女性の方々から「きゃぁ!銀座に志かわの食パンだ!」という歓喜の声を上げて頂いた時は、私も内心「やったぁ!」と思い、「きゃぁ!」と叫びたかったです。
実はその後、そのパーティーに参加された多くの先生方から注文が入り、議員会館に納品したり、婦人会主催のソフトボール大会にも追加注文を頂きました。
もし私が政経パーティーのハガキを受け取っただけで行動していないままであれば、この法人営業は実現しなかったわけです。ある首都圏の加盟店様オーナーは「私がかつて扱ってきた商品の中で、食パンほど販売しやすい商品はない」と常々発言されています。もちろん、その加盟店様は常に優秀加盟店に入っておられます。

このような法人営業の事例は、他にもあらゆる会社や場所で注文をいただきましたが、ここでは当然の事ながら、事例発表は控えさせていただきます。何故なら、同業他社が追随するとは限らないからです(笑)。

「市場はあるのではなく、市場は創るもの」です。

【追記】
2025年8月29日。
OSGコーポレーションはこの日、創立55周年記念式典及び謝恩パーティーを新高輪プリンスホテルで開催します。国内外から約2000名の招待客をお迎えしての開催です。

1970年8月29日。
OSGコーポレーションは私を含め、5人の若者が5坪の貸室からスタートしました。
この年は日本初の大阪万博が開催された年でもあります。
本来は、2020年8月29日に創立50周年記念式典を同ホテルで開催する予定でした。東京オリンピックイヤーでもあり、コロナ禍の真っ只中でもありました。私たちは数年前より準備していた50周年記念式典及び謝恩パーティーをやむなく断念しました。

そして、5年後の2025年8月29日での開催です。
奇しくも、大阪・関西万博開催の年です。
大阪・関西万博会場にて、弊社の商品である「無料給水機」がテレビ・新聞・ネットニュース等で取り上げられ、大変恐縮するとともに長年苦労してきた社員さん及びご家族の皆さんにとっても、大きな節目の記念式典における話題となり、心から感謝しています。

次回、9月1日に掲載します。

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