前回からの続きです。
第562回(2023年10月1日掲載)に掲載している内容を一部転記します。
『昭和通りと晴海通りが交差する三原橋交差点を歌舞伎座側に向かって横切り、私は「俺のベーカリー東銀座店」を後にしました。
歌舞伎座の正面入口を過ぎてすぐの角を左に曲がった木挽町通りを「銀座に志かわ」銀座本店に向かって歩きました。真っ暗な夜道です。
昭和通り・晴海通りという大きな通りに面した「俺のベーカリー東銀座店」と比較すると「銀座に志かわ」の立地は完全に路地だなと、改めて思いました。
「銀座に志かわ」銀座本店前の通りは一方通行で、殆ど車も走っていませんし、冬の夕方6時ともなれば人通りもなくなります。通り名があるのかすらも分かりません。
私は真っ暗な路地を銀座本店に向かって歩いていましたが、その足取りは段々遅くなっていきました。
「俺のベーカリー東銀座店」が「銀座に志かわ」本店と同じエリアで同じ時刻にオープンする情報を耳にした時、私は「銀座でホットな戦い 食パン戦争」で、なかなか話題になって良いではないか、などと調子のいい話をしていましたが、急に不安がよぎりました。
それが足取りを遅くさせている原因です。
「同エリア同日同時刻オープン」に対して、やはり絶対的立地条件の良い「俺のベーカリー東銀座店」にお客様が集中するのではないかという不安です。
逆に言えば「銀座に志かわ」には全くお客様が来ないのではないかという、どこか「恐怖」に似た思考が瞬間的によぎりました。
本来、私に絶対にあってはならないネガティブ思考です。
真っ暗な夜道がそのようにさせるのか。歩いている道幅がそうさせるのか。
ひとり夜道を歩きながら、私は「これはいかん」と思いました。
こんな時こそ「プラス思考」で明るい材料を探さなければ!
プラス要素を探す訳です。だからこそ「プラス思考」と呼ぶのです。
社員さん達に常日頃からそのように教えているのだから、「これは正に生きた教材だ!」と不安を煽る思考を打ち消して、プラスに転じる明るい材料を見つけようと自分自身に言い聞かせ、歩きました。~(略)~
私は銀座本店近くまで来た時には「晴海通り、晴海通り」と繰り返していました。
そして「よし!いつか晴海通りや昭和通りのような表通りに銀座に志かわを出店してやろう」と新たな目標を思い付いた時、本来のポジティブな自分を取り戻していました。
銀座本店に到着。オープンに向けて準備を進める工房スタッフの皆さんをドア越しに見ながら、階段で2階に上がりました。
「俺のベーカリー東銀座店」から移動する僅か10分間、私を支配したネガティブ思考を、改めて反省しました。
「よーし、やったろうやないか!!」~(略)~』
「想いが実現する」を久し振りに体験した事になります。773日目の出来事です。
私は今まで、このような体験は少なくありません。とは言え、70歳を超え、今なおこのような出来事に改めて「念い(おもい)は実現する」をこの「銀座に志かわ」で体験する事ができました。
『私は銀座本店近くまで来た時には「晴海通り、晴海通り」と繰り返していました。
そして「よし!いつか晴海通りや昭和通りのような表通りに銀座に志かわを出店してやろう」と新たな目標を思い付いた時、本来のポジティブな自分を取り戻していました。』
は、昨日のような場面です。勿論、コロナ禍のど真ん中のこの時期にビルを買おうと思うこと自体が、当時としてはリスクの高い決断であったかもしれません。しかし、この決断が後々「銀座に志かわ」の新しい道を作ってくれるとは、この当時は思ってもいませんでした。
【追記】
2025年3月31日に「銀座に志かわ・築地店」がリニューアルオープンしました。
サンドイッチやコーヒーなどを提供する「GINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERY」の開店です。
上海では、既に食パン専門店カフェ・レストランがオープンしていますが、日本では初のカフェ併用店です。セミオートの焙煎機やエスプレッソマシンを取り揃え、高品質なスペシャリティコーヒーを提供し、今後の「銀座に志かわ」のビジネスモデルになっていきます。
次回、5月20日に掲載します。
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