代表取締役 湯川 剛

1964年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間は10月10日~24日までの15日間でした。当時、私は高校生で、まさに「スポーツの秋」と言われる季節にオリンピックは開催されました。ですが、この2020年の開催は「真夏の祭典」です。「どうして前回同様に秋に開催しないのか」という議論もありましたが、アメリカとの関係はじめ、いろんな諸事情あって真夏の開催となったようです。
真夏の開催となると「熱中症対策」が必要不可欠で、それが前々回の「熱中症問題に取り組む」と前回の「みずまっぷ」へとつながる訳です。
「熱中症問題」とは別に新たに「ペットボトルごみ問題」も浮上してきました。

さて「プレミアム50」プロジェクト担当社員の話によると、「日本は世界で一番の自動販売機が設置されている国」との事です。更に「身近にコンビニエンスストアがどこにでもあり、ペットボトル飲料を買う環境はどこの国より整っている」との事です。担当社員からの話で改めて「そうなんだ」と認識しました。となれば、私達は「熱中症問題」とワンセットで「ペットボトルごみ問題」に取り組まなければなりません。使命が増えました。
そこで1万7000件のウォータークーラーの設置場所をお知らせすると同時に「マイボトル」を持参して貰わなければなりません。当初はマイボトルがなくても、最初のペットボトルを買ってもらった空ボトルを捨てないで、そこにウォータークーラーの水を補給して貰うことも考えました。

以前、私がホノルルマラソンに参加した折、ホノルル空港で空ペットボトルに空港設置のウォータークーラーから給水している観光客の姿を見ました。それを見てマイボトルを持たなくても、空ボトルを使用するのもいいと思いました。更に観察すると外国人は空ボトルでウォータークーラーの水を入れていますが、日本人は殆どしません。やはりそこは「マイボトル」を持参して「その準備」をするのが日本人だと思いました。
よって「マイボトル」普及に取り掛からなければなりません。すなわち「みずまっぷ」と「マイボトル」は相棒なのです。いくら「みずまっぷ」でウォータークーラーの設置場所をお知らせしても「マイボトル」を持参しなければなりません。

そこでOSGでは「マイボトル」を製造していない為、「マイボトル」を製造している魔法瓶メーカーに声を掛けました。こういう問題は、企業間で協力すればいいのです。
『魔法瓶メーカーの皆さん、来るべき2020年東京オリンピック・パラリンピックの真夏の祭典です。そこには「熱中症問題」と「ごみ問題」が予想されますが、「マイボトル」で一緒に協力して問題解決しませんか』とそんな感じです。
勿論、OSGの1万7000件のウォータークーラー設置と例の「みずまっぷ」についても説明します。私達の事前の予想では「それはOSGさん、素晴らしい。是非とも私達も協力しましょう」と言って頂けるものと思っていました。
各魔法瓶メーカー社に私達の意向を伝えました。その協力として、各魔法瓶メーカー社からOSGが「マイボトル」を仕入れてその運動を広げていく予定でした。 ところが私達の予想とは反してあまり反応がよくありません。ズバリ言えば、私達の考え方に対して東京オリンピックの「熱中症問題」「ごみ問題」を軽くいなされた感じで、仕入価格や納品等も喜んで協力してもらえるような雰囲気ではありませんでした。

声を掛けた魔法瓶メーカー社は殆ど在阪企業なので大阪弁でお伝えすると
「なんでやねん。せっかく自分らでマイボトルを広めたろうと思っているのに・・・」って、こんな感じですか。
私達が思っている程「熱中症問題」や「ごみ問題」に対して、各魔法瓶メーカー社とOSGとの間に「自他認知のずれ」がありました。もう少し大阪弁で行きます。
「それやったらもうええやん。国内品に限らず、海外製にも広げてマイボトルを探そうや」とこんな感じで「プレミアム50」のプロジェクトメンバーは前に進めました。

更に「マイボトル」の理解を広める為に、1000本のマイボトルを無償提供(17年10月から18年2月まで)する事になりました。いわゆる「マイボトルを持とう」啓発運動です。
本来なら、魔法瓶メーカー各社がやるべき企画です。実のところOSG側がメーカー側にうまく説明できなかったのでしょう。

さて、マイボトル啓発では、「エコを携帯する」を合言葉にしました。当時はマイボトルを持ち歩く習慣がなく、風潮もありませんでした。それをいち早くOSGは「マイボトル」を持ち歩き「熱中症予防」「ペットボトルごみ問題」の目的としました。
無償提供の1000本マイボトルの個装箱に、「マイボトルに込めた私たちの願い」としてのメッセージを添えました。
以下が、メッセージの内容
『エコをケータイする。
常にマイボトルを携帯することは、こまめな水分補給はもちろん、ごみの削減、そしてCO2削減にも繋がります。
カラダにやさしく「エコ」に貢献できて、しかも節約ができる。
ひとりひとりが、簡単に実践できるリデュースの具体的な取組み。
OSGグループは1本のマイボトルに「潤いあるライフスタイル」と「美しい自然を守る」という願いを込めてOSGオリジナルボトルをお届けします。』

残念ながらこの「みずまっぷ」は首都圏が中心ですが、2025年には大阪・関西万博も開催されるので関西圏にも検索範囲を広げて、最終的には日本全国のウォータークーラーが検索出来る「全国版みずまっぷ」があれば、超アナログ人間の私も助かります。

「SDGs」(2015年9月の国連サミットで採択された)がまだ社会に広まっていない当時のお話です。各魔法瓶メーカー社とOSGとの共同イベントは当時の2017年から5年後の22年には実現しました。

(次回に続く)

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