代表取締役 湯川 剛

17年6月13日。時計は21時を指していました。
IGF顧問弁護士と青木社長と私は、とある弁護士事務所にいました。
13時間後の6月14日10時に運命のIGF臨時株主総会が開催されます
。 この時点で圧倒的な株主数が、猪木氏側についていました。もう、ジタバタしても結果は見えています。しかし私は最後の最後まで諦めきれずにいました。私の諦めの悪い性格は、こんな時にも顔を出します。諦めの悪い私は、IGF顧問弁護士先生に「株主総会」に詳しい弁護士先生を紹介してほしいと依頼。その面談日時が臨時株主総会前夜21時だったのです。大変大きな弁護士事務所でした。
受付フロアは当然の事ながら既に真っ暗。広い受付フロアだけに余計に静寂と暗さを感じさせました。恐らくそれは私の気持ちが猶更そう感じさせていたのだろうと思います。
今でも鮮明に記憶しているこの光景は、生涯忘れる事はないでしょう。

この時、紹介された先生を仮に新丸の内弁護士としましょう。
新丸の内先生とIGFの顧問弁護士先生は旧知の間柄です。新丸の内先生に今までの経緯と現状を説明しました。説明すればする程、面談室には重たい空気が支配し、既に勝負は決着済だと4人で確認しているかのようでした。
「この期に及んで圧倒的に株主が支持する猪木サイドに対し、今更、協議を持ち掛けても応じてくれる話ではないでしょうね」
新丸の内先生は、ねぎらいとも慰めとも思える優しい口調で言葉を掛けて下さいました。
「そこを何とか・・・」と私は心の中で叫んでいましたが、言っても仕方がありません。答えは、新丸の内弁護士事務所を訪れる前から分かっている訳です。明日の結果は既に火を見るよりも明らかで、4人の沈黙が続きました。

「後はゲリラ的にやるしか道はないですね。相手が犯す僅かなミスを見逃さない事です」新丸の内先生の最後の言葉が私の心に妙に刺さりました。「僅かなミス・・・か」

『圧倒的不利な状況の中で、ギリギリのギリギリまで諦めない。小さな可能性を求めて最後の最後まで動いた。2017.6.13、21:00。最後の打ち合わせに挑んだ。多少の問題があってもやる。弁護士先生には迷惑を掛けられない。自分達でやる!!その結果は!!神様はいるのか!!』
この日の日記の文章です。

翌朝、早くに目が覚めた私は臨時株主総会の会場に向かい、受付と会場の一部を変更するように指示しました。前夜かけて下さった新丸の内先生の「僅かなミスを見逃さない」という言葉について繰り返し考えた結果の事でした。

定刻通り「臨時株主総会」が始まりました。

さぁ、運命の株主総会はどうなるのか。

【追記】
前回の追記に記載した

『世界で闘ってきたあのアントニオ猪木から、もしかすれば最後の闘いの指名を受けた相手がこの自分だと解釈して、彼の言葉を借りれば私の「闘魂に点火した」という訳です。相手に失礼のないように全力で闘って下さい』と掲載しましたが、とんでもない話です。 アントニオ猪木がまさに全身全霊で闘っている最後の相手は「心アミロイドーシス」という病魔です。必ず乗り切ってくれるでしょう。それはアントニオ猪木だからです。

この『 』書きのセリフ部分は当時、私が弁護士先生に何度も伝えた言葉です。
何としても世界の「アントニオ猪木」に勝ちたいという気持ち、そしてそんな猪木氏に対して失礼のないよう、闘う相手に相応しい弁護士先生をセコンドとして迎えた訳です。
例えば、訴訟関係の書類を見ていると、同じ弁護士事務所に所属する先生方の名前がズラズラと大勢列挙されている場合があります。私が弁護士先生に依頼をする場合、案件毎でその分野に精通する専門の弁護士事務所に依頼します。その為、状況に応じて異なる弁護士事務所に所属する弁護士先生方に集まって頂いての連絡会議を行ないます。そういう対応は当時も今も変わりません。
IGF顧問弁護士・新丸の内弁護士(仮名)・大手前弁護士(仮名)・麻布十番弁護士(仮名)。
「最強弁護士軍団」と私はこの先生方を呼んでいます。
ちなみに、この4人の先生方の内、2名の先生は大のアントニオ猪木ファンです。

(次回に続く)

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