代表取締役 湯川 剛

猪木氏が依頼した弁護士事務所からの「帳簿調査」結果を青木社長から知らされました。その結果を聞いて驚きました。そこに私の名前があるからです。

要約すると「湯川監査役が不必要にIGFの交通費を使っている」との事で、これを放置していた全役員は解任。新しく猪木氏が社長に就任する事を次回の株主総会で決議する」との事です。

私には身に覚えのない事なので青木社長に「それはナニ?」と聞き直したくらいです。
IGFの役員を全員解任し、猪木氏が社長に就任する事は私にとって無関係な事であり、社長交代を株主総会で決議しようがしまいが私には関係ありません。私が問題にしたのは役員の解任理由が、私に支給されている交通費の使途が私的流用されている為だというので、そうなると「私には関係ない」とは言えません。
ここで私がIGFから受け取っている交通費についてお話をします。
ここで問題になっている「交通費」とは、私が月1回の役員会に出席する度に新幹線回数券をIGFから往復2枚、年間24枚受け取っている回数券を指します。
ところが13年当時に年間24枚以外に回数券を受け取っているという指摘がありました。もし私がたとえ1枚でも役員会出席以外の回数券を受け取っているならば、それは大きな問題です。私は長年の習慣として飛行機や新幹線を搭乗する時、乗車時間と到着時間を必ず記録しています。記録を辿れば、全てわかります。
その年のIGF関係の新幹線乗車記録を調べてみると、役員会出席以外に受け取っていた記録がありました。それは猪木氏に呼ばれて議員会館に行った際の乗車記録でした。
議員会館に行った方はご承知と思いますが、必ず氏名・電話番号を記入し入館します。
この事を猪木氏サイドに知らせると、次にOSGの上海事務所とIGFの道場が隣接している事の状況から、事もあろうに「IGFの費用でOSGの上海事務所を設立した」という荒唐無稽な言いがかりの返事が来ました。
私は当時IGF道場とOSG上海事務所を隣接する時、このような事が必ず指摘されると困るので中国の工事関係者に「1円たりとも双方が負担をしたり、させたりしてはいけない」と細心の注意を払っていました。勿論、上場会社OSGでは監査法人が年に1回訪中し、全て調べますのですぐに分かる事です。
また猪木氏が「中国でプロレスを広めたい」との意向で中国に進出している私に、中国の事を手伝ってほしいという経緯は、この「人プラ」でも何度か掲載している事です。
そこでIGFの為に中国出張には、私は必ず「出張報告書」を提出していました。
IGF社員が出張をする場合、「出張報告書」といった書面を提出する必要はなく、当時のIGF社内にはそのような制度は存在していませんでした。しかし私は必ず「出張報告書」を作成し提出していました。誰と面談したのか、その結果どのようになったのか。
私は全て記録を取り、IGFに「出張報告書」として提出していました。その事実を知らさせると相手側は何も言ってこなくなりました。

この17年当時、猪木氏は参議院議員である為、IGFの会長を辞任し顧問の立場だったと思います。いずれにしてもIGFは、彼の為に設立された会社です。その会社に対し、猪木氏自身が弁護士事務所を使って帳簿調査をする必要があるのかなと不思議に思いました。そのような事をしなくても、「調べたい」と言えば済む事だからです。
私は青木社長に「調べて貰えばいいのではないか。しかし何故、弁護士事務所を通じてやるのか、不思議やね」と、そんな感じで応答したと思います。
私は猪木氏から依頼されて6年前からのいわゆる「頼まれ監査役」です。無報酬で毎月の役員会に出席し、その交通費として新幹線の回数券を都度頂いていました。
それにしてもわざわざ弁護士事務所を使って調査するというのは、ただ事ではないという気持ちもありました。

しかし猪木氏サイドは、私の不正問題に関係なく「IGF役員は全員解雇」そして監査役である私はそのまま留任のような内容で臨時株主総会を迎えるとの事でした。
私は当初、創業者猪木氏が「IGFの役員解雇。猪木氏社長就任」に対して、それは好きにやればいいと容認していましたが、その理由が「私の私的流用」であるならばそれは許せないという気持ちになりました。IGF役員を解雇する理由に「私をダシに使われた」事は、いつしか「この件に関しては絶対に許せない」という気持ちに変わりました。
こんなにプライドを傷つけられた事は何十年もなかったような気がします。
その結果、私はIGFの役員側に付きました。

「たとえ回数券を多く渡したからと言って、湯川会長がIGFに貢献した事は
その比ではない。IGFのスポンサーから多額な協賛金を獲得してきたり、また40年以上、アントニオ猪木にサポートして来たのになんと小さな事をアントニオ猪木は言うのか」との声を多く頂きました。しかし例えそうであったとしても「筋の通らない金品は1つたりとも要らない」とむしろその慰めの言葉は逆効果。「どうしても許せない」という気持ちに火を付けました。
このように私のプライドを軽視した事で、私と猪木氏との闘いが始まったのです。
恐らく猪木氏自身は、実際のところ分かっていないと思います。
正確に言えば猪木氏の側近とその取り巻き連中が仕掛けた事だという事がIGFの臨時株主総会での議案内容を見てわかりました。

さて側近と取り巻き連中という言葉に品がなければ「四人組」と言い換えてもいいですが、「猪木チーム」と表現したいと思います。
ちなみに臨時株主総会の相手側からの議案議案は「IGF役員全員の解任」と「猪木チームメンバーの役員就任」との事でした。「なるほど、そういう事か!」

いずれにしても、「降りかかる火の粉は払わねばならぬ」と全面的に「闘う」という気持ちが一気に膨れ上がってきました。

プロレス的に言えば「リングの鐘が鳴った」という事でしょうか。

【追記】
3月2日にNHK総合番組でアントニオ猪木氏の闘病生活に密着したドキュメンタリー番組『燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~』が放送されました。見られた方も多いかと思います。
同番組は昨年11月にNHK・BSプレミアムで放送され、大反響を呼び、地上波でも再放送されました。内容は猪木氏の病名である「心アミロイドーシス」対しての闘病生活の模様でした。長年アントニオ猪木のファンである私も、改めて「アントニオ猪木」のカリスマ的な存在と病魔と闘う凄さを見せつけられたものです。
彼の性格から見ても、必ず乗り切ってくれると思います。
頑張れ、アントニオ猪木。

(次回に続く)

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