代表取締役 湯川 剛

2016年8月14日朝。
上海に戻った私は「水密碼館 ~Water Code~」の基地旅行の準備を進めました。
8月8日のセレモニーが終わり、いよいよこれから「水密碼館」にどれだけの中国販売代理店が基地旅行でお客様を呼んできてくれるのかが、これからの欧愛水基の仕事です。
同時にこの「水密碼館」は海外向けでの施設です。欧米からの問い合わせ等があり、時には来日でOSG本社や川越工場等での商談がありますが、これからは「水密碼館」で行う場合もあります。欧米から見れば「東京で会う」も工場のある「川越で会う」も「上海で会う」もあまり変わりません。
そんな世界市場に向けての「水密碼館」であればいい訳です。その為には「英語表示」も「水密碼館」の課題です。

15日の夜、上海IGFプロレス道場に顔を出しました。日本人プロレスラーをコーチに迎えて本格的なプロレス道場です。以前にもお話ししましたが、アントニオ猪木氏の娘婿であるサイモン氏が責任者です。彼は同じく猪木氏の指示で「米国ロス道場」を運営している経験があります。彼の話によると「米国ロス道場」で修業した練習生達が今や世界最大のプロレス団体「WWE」のスター選手を輩出しているとの事です。「中国人初のWWE選手、王彬選手」を夢見て多くの中国人練習生が、練習に励んでいます。私は道場に設置してあるプロレスリングの中で練習している彼らを見て、ふと思いました。
私は1日前、インドにいた訳です。インドでは職業訓練所を建設する為に頑張っているインド人青年がいました。またその職業訓練所に入所するインドの若い生徒達も夢を見て入ってくる訳です。彼らは家が貧しく学歴もなく、その為、全寮制の職業訓練所に入り、技術を習得する訳です。
私はわずか2日間で、中国とインドの世界の大国に潜む貧しい世界とそこに生きる若い青年達を見た訳です。共通する事は、若者達は全て「未来」に向けて生きています。「夢」を見て前に進んでいます。逆に言えば「未来」「夢」がなければ、貧しさの中で生きられないのです。

上海IGF道場の若い練習生達と道場近くの安い食堂で夕食を食べました。たぶん日本人観光客は絶対に入らないお店です。ひとり日本円換算で100円くらいです。私はよく利用します。
彼らは全て「未来」を明確に語ります。日本人の同じ若者にこれ程の明確な「未来」「夢」を語れる人はどれくらいいるのかなと思いました。「若さの特権」である夢いっぱいの未来の彼らの話に私は目を細めて聞いています。

出発するその日の朝、上海で格闘技道場を運営している日本人A氏から「がんを患った」との連絡が直接入り驚きました。A氏は日本の大手企業に勤務。中国法人の責任者でしたが、会社との人間関係から退職。縁あって中国で格闘技道場を経営しています。「すぐ日本に戻って治療すれば」と伝えましたが、彼の話は「延命治療はしない」との事です。何度も電話口で説得しましたがその場では私の意見を聞いてくれませんでした。その理由は「未来」や「夢」がないとの事でした。とにかく日本で会う事を約束して、電話を切りました。
私は上海空港内で出発時間を待つ間に、いろいろな事を思い出しました。

インドで職業訓練所を建設する為に頑張っているインド人青年。その職業訓練所に入所する貧しいインドの子供達。夢を追いかける若き中国人練習生達。そして50代にてがんを宣告されながら治療を拒否する日本人男性。まさに人生いろいろだと思いました。

私も「夢を追いかける」事には少し年齢が行き過ぎたかなと思いつつ「私なりの夢」を追いかけようと思いました。常に「ノーイングリッシュ」精神で「出来ないけど挑む」事を明日に向かってやろうと思いました。

そんな思いが、2年後に起こる「未来への挑戦」がこの時は、神のみぞ知る状況でした。

(次回に続く)

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