代表取締役 湯川 剛

FCP社は、敷地内の欧愛水基の工場に併設する展示場棟の屋上に「OSG」の看板を設置する事に難色を示し、更に別の問題まで発生しました。
それはFCP社の工場敷地内へ出入りするFCP社員をはじめ、部材等を納品する業者等、一人の例外もなく、厳しくチェックされます。顔パスが通じるのは私くらいでしょうか。
当然、同敷地内にある欧愛水基の社員さん達も警備室から一々厳しいチェックを受けます。
そのような状況で「基地旅行」の観光バスが入る事は管理上、なかなか難しいという事です。工場敷地外でバスを降車し入場するならギリギリ認めるが、バスそのもので入場する事は困るという回答でした。代理店の中には100~300人規模の基地旅行もあります。何度か蔡&蘇夫婦と現場責任者が交渉しましたが、展示場「水の科学館」の設置は工場内でやるのは、理論上問題ではないが、実際にはなかなか厳しい状況でした。

FPC社の経営者と欧愛水基の責任者とで何度も話し合いの機会を持ちましたが、一向に進展する様子はありません。
日本から出向している欧愛水基の工場責任者らは、敷地内にある経営者の自宅の何室かを借りて、時には食事等も一緒にする関係で、まさに家族ぐるみの付き合いです。
しかしこの話は前進しません。私自身もあまり無理に要求する事を指示しませんでした。
FCP社が中国進出の折、将来を見据えて広大な敷地を購入したものの当時は工場棟も少なく、取引先も厳しかったと聞いていました。そのような状況下、OSG・欧愛水基と取引出来た事はFCP社にとっても救いだったと経営者は私達に言います。だからと言ってそのような過去の背景をもって要求する事は、私自身したくありませんでした。

「6月24日に、湯川会長が来ると聞いているけれど、FCP社の幹部達を交え一緒に食事をしませんか」とFCP社の経営者夫妻から連絡があり、その時に幹部にも展示場構想を伝えてほしいという事でした。それを聞いた時、屋上にOSG看板を設置する事を反対しているのは、実は経営者ではなく幹部なのかもしれないと察しました。
こうして6月24日当日。初めて幹部の皆さんに「展示場構想」を披露しました。

それから数日後、屋上の看板の件で連絡が入りました。
「正面は従来通り困るが側面なら使用しても良い」という妥協案が示され、私達は正面に設置する事をお願いしていたので、この妥協案は受理しませんでした。
これを機に私は思い切って「FCP社から離れる」方向へ発想を切り変えました。
生産工場はそのままに、「水の科学館」をFCP社外に設置する構想です。
改めて長喜の孫董事長に相談してみました。すると1か月後、「水の科学館」に適した空き工場があるという知らせを受けました。しかも場所はFCP社の真向かいとの事。規模は平面1500㎡の2階建て、上下合わせて3000㎡です。「水の科学館」にしては広すぎるので、更に工場移転の案が出ました。

代理店が連れてくる「基地旅行」としては「水の科学館」と「生産工場」とが一体化している方が望ましい訳です。「水の科学館」を見学して、その後、徒歩で向かいのFCP社の敷地内にある欧愛水基の生産工場を見学する事に多くの代理店が賛同しませんでした。それは足が不自由なお年寄りも参加される「基地旅行」なので、現実的に厳しいという事でした。

そうなると選択肢は2つです。
① 展示場を見学して向かいのFCP社の工場を見学してもらう。
② 真向かいの空き工場に工場と展示場を併設する。
勿論、後者はバスの横づけが出来、屋上には「OSG」の看板も設置出来ます。
この二者選択に大きな決断が必要とされました。
当然後者の方が私達にとって有利な条件です。問題はそれが実現した場合、FCP社の真向かいに欧愛水基の工場が出来る事になります。

この案を私は、蔡&蘇夫婦に伝えませんでした。
それは彼らにFCP社の敷地にバスを乗り入れて屋上に看板を立てさせる事への交渉材料にしか映らなかったからです。また彼らにも決断の苦しみを味あわせる事に他なりません。
彼らも信念を持って、真正面に「OSG」の看板を掲げさせない理由があったのでしょう。そうでなければ私との人間関係でそんなに強く拒否する事はないのです。そこには考え抜いた上での結論だったと思います。

話は変わりますが、2015年の出来事として次のような話が持ち上がりました。
2月頃から上海のPPTV局(有料テレビ)でプロレス番組を放映したいと打診がありました。
北京オリンピック大会をテレビ観戦した際、猪木さんは「これからは中国でプロレスが流行る!」と感じ中国に格闘技団体を設立し、その後、上海でプレ旗揚げ戦として世界総合格闘技大会を開催。この話題はあらゆるメディアで報じられ話題となりました。
また中国人初の選手である王彬を預かっている事が大いに話題を呼び、NHKでも取り上げられました。
その後、8月にマカオテレビからも「プロレス番組をやりたい」と持ち掛けられました。

(次回に続く)

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