代表取締役 湯川 剛

香港上場会社の天然社の紆余曲折は何度も「人プラ」で掲載していますので省きますが、この「天然社」の最盛期にあった中国全土の代理店300社はその後、欧愛水基の代理店の基礎となっています。勿論、現在は300拠点も存在していませんが、企業規模的には旧天然社時代では比較にならなく位に大きくなっている代理店があります。何度も「人プラ」で取り上げている広東省・シンセン代理店や山東省・済南代理店などが代表的な代理店です。量的に淘汰されていても、質的には拡大していました。

さて「100日間業務停止」事件をきっかけに改めてアルカリイオン整水器を取り扱いたいという代理店が増えました。とはいえ、メンテナンスをはじめアルカリイオン整水器に対する知識を持つ代理店社員がこの数年間でいなくなり、「商品勉強会」を開催して欲しいという要望です。日本と比較にならない広大な国土を持つ中国。その中国全土に対しわざわざ欧愛水基が出かけていく事は交通費・人件費を考えると対応しきれない。
そこで「我々が各代理店を訪問するのではなく、向こうから来て貰う」という「水の科学館」構想が持ち上がりました。代理店の社員に商品説明するのではなく、代理店のお客様に専門知識のある私達がやれば代理店も助かるでしょう。
欧愛水基の本拠地は蘇州・呉江です。隣の上海ならまだしも、北京や武漢、更にウルムチや大連など広大な中国全土から、果たして蘇州・呉江まで足を運んでくれるだろうか。
クリアすべき課題はいくつもありましたが、そんな中でひとつ面白い情報を得ました。
中国のビジネス界でここ数年、定着しつつある一つのブームがありました。業界最大の販売会社で、欧愛水基最大の代理店である広東省・シンセン代理店がその仕組みを積極的に取り入れ、事業拡大を遂げていました。

この手法は何も健康食品業界だけに限った現象ではなく、中国のビジネス業界全体が採用している「顧客管理」と言っても構いません。そのビジネスモデルは、中国において「基地旅行」と言われました。その呼称から例えるなら日本の場合、自衛隊基地を見学するようなイメージがありますが、それとは全く違います。
簡単に言うと「お客様に旅行をして貰う」という事です。日本的に言えばお得意先様の団体旅行がイメージに近いでしょうか。日本では50年ほど前に流行ったかと記憶していますが、例えば「●●温泉旅行」や「旧所名跡巡りの旅」や「香港・マカオ優待旅行」等、私が20歳前後だった頃の記憶としてうっすら残っています。現在でも日本で「基地旅行」的なものはあるのでしょうか。この日本版「団体旅行」である「基地旅行」をあらゆる業界が取り入れています。つまり例えるなら北京や武漢、更にウルムチや大連などから2泊3日のバス旅行の日程にこの「水の科学館訪問」の予定を組み入れるという構想です。

小さな「基地旅行」なら日帰りバス旅行や数日間宿泊を伴うバス旅行です。貸切バスから更に貸切列車なども使います。更に豪華な「基地旅行」では豪華客船を借り切ってのクルーズ旅行もあります。中国国内を遊覧する船旅です。それが中国の港から韓国、そして日本へと海外基地旅行もあります。なんと更に更に驚くことは旅客機を借り切って海外旅行を企画する場合もあります。数年前に日本でもニュースで取り上げられましたが、中国人が数千人単位でヨーロッパを訪れたというチャイナパワーを見せつけたのも、この「基地旅行」です。

実はこの「基地旅行」は中国が抱えている高齢化社会における一つの現象です。年老いた両親の面倒を子供達が見られない事象を金銭で解決出来るならば…との需要があるからです。
「次はいつ旅行に行くのか」と代理店の中に問い合わせる子供夫婦がいたりもするのです。両親の面倒を看なければいけないが、中国のビジネス競争の中で生き残る為にはその時間も惜しみお金で解決できるならと「基地旅行」で両親の面倒を見て貰う訳です。現在、60歳以上の高齢者の人達は、経済開放後の高度成長する以前の中国時代を経験しています。特に70代・80代の人達は、貧しい中国の中で過ごしてきました。そのような高齢者の人達からみれば、いろいろな観光地を訪れ地元の名産品を食べる事で双方が満足しています。また国家がそれを推奨している気配もあります。いずれにしろ、この「基地旅行」という社会現象を活用した時、わざわざ私達が中国全土を代理店エリアに出張し、商品勉強会をやらなくても済む訳です。

問題はこの「水の科学館」をどこに設置するのか、欧愛水基にとって次の大きな課題となりました。

いずれにしろ「100日間業務停止」が思わぬ展開になってきました。

(次回に続く)

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