代表取締役 湯川 剛

この「人プラ」11月中の3回掲載はOSGに関する内容ではありませんでしたので、本日はOSGの話に戻ります。
「会長・社長完全分離」でありながら7年目にして迷いが生じたというお話をしました。
それ程、当時のOSGの経営に憂いを感じていました。その原因はある1つの事業部の低迷が全体に大きな影響を与えているという事です。その事に私自身が解決に乗り出すべきか、否かを迷っていた訳です。結果的には「苦しい事も乗り越えてこそ、真の経営が分かる」と「会長・社長完全分離」を貫きました。その判断の責任は全て私にある訳です。その結果が悪ければ、私自身が責任を取ればいいという結論に至りました。

12月5日の役員会には、珍しく事業部責任者・関連企業責任者も参加しました。
ちなみに私がOSGに対して発言をする機会は原則的には第1金曜日の役員会と第1土曜日の全国拠点長会議の月2回あります。それに第1日曜日に不定期開催の「OSGグループ幹部勉強会」があります。

この月の役員会の席上で私は「上場した瞬間、会社は他企業から買われる運命にある。OSGもその例外ではない」と上場企業としての仕組みを改めて説明しました。 翌日の全国拠点長会議では「私にとって45回目の年末を迎えました。8月に創立したその年の12月にほろ苦い思い出がある。その年の年末に資金繰りが悪化し、当時取引していた信用組合に借入金を申し入れた際、信用組合は貸さないとの事でしたが、但し保証人によっては貸してもいいと言われました。そこで以前勤めていた会計事務所の先生にお願いしたところ断られました。しかし私にとって保証人となるべき人物は先生しかいません。先生が東京出張に行くという事で出られた後も新大阪駅までついていき、当時、中央改札口の前にあった千成瓢箪の前で土下座をした・・・」(第20回掲載)と、私には珍しく過去の話をしました。

改めて振り返ってみると、何故このような話をしたのかという事です。
OSG役員会では「危機感」をもって経営に挑むという事でした。また全国拠点長会議においては、OSGが今日来られたのは、いろいろな出来事があったが全て乗り越えてきたから今がある。よって乗り越えられない問題はないという事を話したかったのだと思います。
しかしよくよく考えてみれば、45年前の話など、あまり意味がありません。私自身、過去の話をあまりしないのは、意味がないと思っているからです。過去の出来事から学ぶ教訓は山ほどありますが、それを認識するのは私自身と経営陣だけでいいと思っています。

2014年12月6日の拠点長会議の後、私は1枚の用紙を役員達に渡しました。
そこには「OSG取締役の使命と果たすべき役割」が書かれています。
ここで全てを開示する事は出来ませんが冒頭の文章だけ紹介します。

「長年アントニオ猪木に支援をして頂いて感謝しています。今回の事は残念ですが、しかしながら1度は協賛をして頂く話になりました。私は1度も会長とはお目にかかっていません。改めて日頃のお礼を申し上げたいのですが、その前に最後の最後、もう1度協賛金のお願いが出来ないでしょうか。そうすれば招待券もそのままで複雑な手続きも要りません。原因はアントニオ猪木のスキャンダルとなっていますが、私から考えれば、それほど大きな影響を与えるとは思っていません。そういう問題も含めてアントニオ猪木というキャラクターは成り立っているのではないでしょうか。長年支援をされて会長も分かっておられると思います。●●さん、もう1度電話をして下さい。私はいつでもお願いに行きます。頭を下げろというなら下げます」と伝えました。幹部の方も私の気持ちを分かって頂いた感じでした。

『OSGのような中堅中小企業の取締役は、トップを補佐すると共に実務担当者として現場の最前線に立つ。経営陣の一人としてトップと一枚岩となり、自ら体を張って会社を守り発展させていく事こそが取締役に求められる第一の仕事であり誇りである。管理職の延長線ではなく、「経営陣の一人」である自覚が必要』となり、「1」~「6」まで書かれてあります。
例えば「3」⑨には「危機感と悲壮感をはき違えるな。取締役は悲壮感を避けるべし」とそんな具合の文章が書かれてあります。取締役としての心得帳みたいなものです。

全文をお見せすれば、昭和のニオイがプンプンします。
多分、私がこの文章を作成し、役員に渡した背景には「役員頼むぞ」の願いが込められていたからでしょう。
翌年の役員会から、冒頭に社長から指名された役員が「OSG取締役の使命と果たすべき役割」を読み、その後、役員会が開催されます。

それぞれの企業には企業の数だけ役員会がある訳です。役員会の決定が会社の命運を決定づけると言っても過言ではありません。会社はトップ次第です。そのトップを支えるのが役員であり、そのようなロジックでいくと会社は役員次第でもあります。多くの社員さん及びその家族の皆さんの生命や財産、更に人生まで影響を与える訳です。それだけに役員としての使命と果たすべき役割は想像以上に重いものだと私は思っています。

 

(次回に続く)

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