代表取締役 湯川 剛

新しい年14年の開幕はお正月早々中国での社員教育と家電量販店との取引という慌ただしいスケジュールで迎えました。このような新年早々のスタートなら日本人は「1年の計は元旦にあり」と張り切るのですが、旧暦のお正月を迎える中国人から見れば1月3日は「年の暮れ」にあたります。
中国に進出して10年以上が経ち、お正月早々に中国に飛んだ事も数回ありましたが、「年の初め」と「年の暮れ」とのギャップは多少あり、戸惑う事があります。

家電量販店の元々の紹介は、前々回にお話した長喜の孫社長ですが、もっと遡ると中国の投資家から孫社長へ依頼があったようです。
その投資家の話によると中国市場において5大家電量販店で唯一、香港市場に上場しているのが漢寛平董事長率いる家電量販店だという事でした。私はその話に驚きました。全ての家電量販店が上場しているものだと思っていたのです。

「日本の浄水器を私共の家電量販店で販売したい」と13年末に話があり、私は「中国の水事情では日本の家庭用浄水器をそのまま取り付ける事はなかなか難しい」旨を伝えました。
それでも販売したいという強い依頼の下、「では中国国家体育局のオリンピック強化選手の合宿所に取り付けてある中国向け家庭用浄水器はどうか」と勧めました。日本の細やかなデザインに中国ろ過器をその前に設置する方式に非常に興味を持ってくれました。
ただ中国の消費者から見た場合「デザインより容量」に重きを置くのではないかとの意見が出ました。
OSGは中国国家体育局の食堂にアルカリ自販機を設置している関係から選手の部屋にも浄水器を取り付けたいとの事で「特別仕様」の家庭用浄水器を取り付けた経緯があります。元々これを商品化するという考えは全くありませんでした。
その日本式家庭用浄水器が果たして100社を超える中国式浄水器メーカーがある中で評価されるのか、家電量販店と中国欧愛水基の双方で興味を持っていました。

3か月が過ぎ、結果は販売計画の3分の1程度の実績でした。一般家庭から見てOSG製品の価格は割高で、デザイン重視の日本の家庭用浄水器を受け入れて貰う事は予想通り厳しい結果となりました。
アルカリイオン整水器の場合は、元々「高価格」であり技術が伴う製品であったので中国製品より評価をされていましたが、単に活性炭でろ過する家庭用浄水器の場合は、見た目より実質評価に消費者の判断がありました。

そのような結果にも関わず「製品は計画通りの成果は出なかったが、引き続き社員教育は是非ともして欲しい」との依頼でした。個人的には是非とも日本の社員教育、いやOSGの社員教育を試したい気持ちがあり、また「社員教育幹部学校」にも興味がありましたが私の立場上、それを了承する事は出来ませんでした。実は同時期に上海の師範学校から「日本の特にビジネス幹部教育について「湯川ゼミ」を是非ともやって欲しい」との話も入ってきました。これも大変興味があり何度か学校にも訪れ、教授とも会いましたが、やはり自分の立場を考えるとそれを引き受ける事は出来ませんでした。

何より嬉しいのは私の就任依頼より、OSGの社員教育の教材を評価された事です。
特に「販売の本質」や「明るさの磁場経営」は国境を越え文化・習慣を越えて受け入れて貰えた事に無上の喜びを感じました。私がいつか企業の責任者の任を終え、可能であるならば「未だ見ぬ本当の私への発見の旅」(通称、未見の大我)をライフワークとしたいものです。

それにしてもこの2014年当時の私は67歳。
その私が「未見の大我」をしたい等、それはない話です。

(次回に続く)

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