代表取締役 湯川 剛

2012年9月19日、「直販体制説明会 南京エリア会場」

15時に開始予定でしたが、開始予定時間が過ぎても誰も会場へやって来ませんでした。
16時になってようやく、地元の南京代理店と同エリアの東陽代理店、宣興代理店、蘇州代理店の4社が集まりました。予定は5社なので1社のみの欠席です。
この南京エリアの説明会の成功の可否がこれから始まる各地の説明会の開催に影響を与えます。それだけにダラダラした説明会開始の雰囲気は何となく嫌な感じがしました。

始めに販売会社としての立場であった珠海欧愛水基がなくなりメーカーである欧愛水基が直接販売する事になった経緯を説明しました。そして以下の方針を説明しました。
①高級感ある製品を販売し、中国産の安価での競争はしない
②殺菌水を含め、総合機能水メーカーとして行なう。特に四川省のパンダセンターに殺菌装置の実績を発表。
③日本企業のイメージで安全・安心を打ち出す

以上の方針に加えて、上海に愛武格闘技会社(中国初プロレス)の設立に欧愛水基も参加する旨を伝えました。これは中国のオリンピック選手がOSGアルカリイオン整水器を使用している関係から中国国家体育局との付き合いがあり、当局から「新しいスポーツビジネスを欧愛水基が提案するように」との事でした。
中国では今後、プロレス・格闘技が広まり、ネット等で試合が発信され、リング等に「欧愛水基」のロゴマークがPRにつながる等の説明もしました。当然、欧愛水基の人材やコストもかけて支援していく形です。5月に設立された愛武格闘技会社の設立パーティや7月に開催された上海中央体育館での試合のDVDも見せました。

参加した4社の代理店の社長は、お互い8年間において交流もあり、私自身それぞれの会社のお客様大会等にも参加。彼らも前年のOSG創立40周年記念式典にも参加していましたので、非常に親しい関係にありましたがこの日の会場では状況が変わっていました。

ある代理店から「今日は忙しい中、遠いところから来たのにがっかりした。もっと具体的な話が出ると思っていた。特に価格は珠海欧愛水基がなくなるのだから、もっと価格が下がる筈だ。これでは話にならない。愛武格闘技会社と欧愛水基とは何の関係もない。逆にアルカリイオン整水器に力を入れていないのではないか。とにかく遠いところからわざわざ説明会に来ているのに、今日は集まる意味がない」と従来の関係が一変するような発言でした。
そして最後には「尖閣諸島は日本のものなのか、中国のものなのか、聞かせて欲しい。特に企業イメージが日本企業であるというのは逆効果だ。今日も日本人と会うという事に多くの知り合いから非難を受けた。それでも湯川董事長が来るからわざわざ来たのに、内容的にはがっかりだ」

その言葉が会場の雰囲気を支配するようになりました。

海外の仕事で言葉が通じなくて困るのは、このような状況の時です。
単なる商談なら通訳を通じて出来るのですが、このような感情的なやり取りは本来であれば直接やり取りするのが理想です。理由は、通訳が訳している内容が本当の真意なのか計り知れないところがあります。商談なら単に条件のやり取りをすればいいのです。ジョークも分かりやすい内容であれば通訳で十分です。しかしこのような微妙な内容は、その言葉の真意が重要です。「尖閣諸島は日本のものなのか、中国のものなのか、聞かせて欲しい」は冗談で言っているのか。まともな話を冗談で返事をすると大変な事になります。その逆に冗談で言っている事をまともに応える事も話の雰囲気がおかしなことになります。
だから通訳を通じての場合は、相手の顔の表情が影響します。

話は少しズレますが、日本人は厳しい内容を伝える時にそれを相手の受け止め方がストレートにならないようにと顔の表情等を利用する場合があります。
ところが言葉が通じない場合にはこれが逆効果になります。怒っている内容だがついつい日本人は相手に悪い気持ちを持たせてはいけないと少し引きぎみに、時には笑顔を作って話します。話す内容は通訳がするのですが、聞き手からすれば相手の表情が笑顔なので、あまり厳しく受け止めてくれません。
私は言葉が通じなくても「これは真剣だ」という時は、真剣な顔で説明します。
話す内容と顔の表情は、言葉が通じない相手には非常に必要です。

話は戻します。
「尖閣諸島は日本のものなのか、中国のものなのか、聞かせて欲しい」の内容を通訳から聞くのですが、問題は相手の表情です。真剣に言っているのか、冗談で言っているのか。
中国語を知る周囲の中国人の表情も見ます。彼らはその言葉の意味と真意を分かっているからです。この時の場合は、真剣に言っている事がありありと分かってきました。

従来の欧愛水基の立場が変わった。いわゆる製造本位から製造から販売までを行なう。
直販体制として今後とも代理店と従来よりも更に深く付き合っていかなくてはならない重要な説明会で「尖閣諸島問題」という政治的な問題が立ちはだかる事になりました。

さぁ、どうするのか。

追記
当時、尖閣諸島問題で大規模なデモが上海市内を中心に各地で勃発。
日系スーパーや日系工場や日系商店・レストランが焼き討ちにあいます。当時は中国国内で日本語を話す事すら気を使わなければなりません。例えばタクシーの中で、日本語で会話する乗客は途中で降ろされるケースもあり、車中では一切会話はしません。
2012年9月11日に発生した尖閣諸島問題は予想以上にビジネスにも影響していました。

(次回に続く)

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