代表取締役 湯川 剛

アントニオ猪木さんらと被災地に訪問した2011年4月5日の4日前。
4月1日、OSGの平成23年度入社式が本社9階会議室で開催されました。

『この春に無念にも震災で亡くなった社会人1年生の分まで頑張ろう。
国難と言われる東日本大震災の中において、福島第一原子力発電所の事故に対する東京消防士達のプロフェッショナルな仕事ぶりは、私達の心に響くものがありました。
また米国のトモダチ作戦においての勇気づけに心熱くしたものです。
「人は協力して大きな障害を乗り越える力があると信じる」
これはこの年の春の選抜高校野球の高校球児の宣誓の一部です。人間は失うものと同時にそこから発見するものもある訳です』
入社式で新入社員に向けて贈った私のメッセージです。

義援金も含めて助け合う事の重要性を我々はこの年、改めて知った訳です。
OSGにおいても阪神淡路大震災で得た教訓を生かし、震災で失われた浄水器等は躊躇する事無く無償提供し、復興の一助になればと動きました。
「創業40周年」という大きな節目を迎え、式典等がひと段落した時に東日本大震災を経験。11年に対する私の記憶は、東日本大震災のインパクトが強い過ぎて周年イベントの事は掻き消された感があります。特に猪木さんとの震災イベントから以降、何度も被災地を訪れましたが、テレビ画面では伝わらない震災現場のニオイや空気感は忘れられません。
海に向かって叫んでいる女性の姿を見て胸を掻きむしられる思いも経験しました。
テレビのニュースで報じられる事のない場面です。被災地に行ってから以降、私はテレビで報じられる被災地関連の報道をあまり見なくなりました。理由はなぜだか分かりません。
もしかすれば、テレビ画面に映し出される映像にニオイがないからでしょうか。

3か月・6か月と少しずつですが復旧・復興の動きが見えてきました。
義援金等の支援の輪も大きく広がりました。私個人だけでなく、OSGの全社員さんもこの支援の輪に参加しました。

そんな中、社員さんから提案がありました。
【大阪府内では複数のマラソン大会が開催されており、その中でも『大阪国際女子マラソン』と『KIX泉州国際マラソン』の2つが有名であるが、いずれも市民ランナーにとって参加しにくい大会であった。その一方で、2007年から開催された『東京マラソン』が、国内最大の市民マラソン大会として人気を集めているため、当時の橋下徹大阪府知事は「市民ランナーが気楽に参加できる大会を開きたい」として、東京マラソンをモデルとした市民参加型の大規模なマラソン大会の開催を提唱した】
そのような説明が書かれた資料を差し出し、社員さんが私に言いました。
「会長。大阪マラソンのチャリティー枠に参加しませんか」

「大阪マラソンか!」
毎年走っている新入社員とのホノルルマラソンではなく地元の「大阪マラソン」で、しかも第1回。チャリティー枠。新入社員さんとではなく、既存の社員さんとのチーム。
私は申し込みに快諾しました。

10月28日、1か月ぶりの被災地訪問。
私は東日本大震災の被災地 福島のウォーターネット福島プラントオーナーを訪ねました。地震や津波の被害状況や、特に福島第一原子力発電所の事故の事などを聞きました。地震発生から7か月が過ぎ、風評被害等、東京や大阪にいるとわからない現地の生の声を知り、驚きました。それでもオーナーは明るく前向きに「生きていく」話をしてくれました。

その夜、東京へ移動。翌朝、東京から新幹線で大阪に戻ったその足でインテックス大阪に行きました。会場には多くのランナーがマラソンゼッケンを受け取りに来ていました。
会場の至る所に『第1回大阪マラソン・大会スローガン「みんなでかける虹」にちなんだ7つのテーマと、東日本大震災の復興支援のテーマ』が告知されていました。

(次回に続く)

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