代表取締役 湯川 剛

前回、私は時々、私自身の思考回路がどうなっているのか、疑う時があると言いました。
例えば、過去に何度となく危機に直面してそれを乗り切らなければならない場面があります。当然、その為には全身全霊それに取り組まなければならない訳です。その時の私の頭の中は本来、他の事など考える余裕もない筈です。しかしそのような状況下においても私はふと他の事を考えるクセがある事を前回話しました。この事は後ほどお話ししたいと思います。

さて前回の事業領域の拡大として水宅配事業と中国事業をその代表としてお話ししていましたが、それ以外に自販機とプレッシャーウォーターがあるとお伝えしました。その経緯が水宅配事業も中国事業も大変な時期で私の思考回路はいっぱいいっぱいなのに自販機とプレッシャーウォーターを立ち上げたという話でした。
では自販機とプレッシャーウォーターの現状はどうなっているのかをお伝えします。
自販機は今や大手ドラッグストアをはじめ、スーパーマーケットや変わったところではパチンコホール等に設置され、後発メーカーながら業界のトップシェアを占めるポジションにまでなりました。
次にプレッシャーウォーターについて説明します。この事業は取り扱ってから、とんでもない状況になります。それが2020年のオリンピックが東京で開催すると決まった事です。
まさかプレッシャーウォーター事業を決めた10年後に東京オリンピックが決まる等、ゆめゆめ思っていませんでした。大きな市場です。全ての競技会場に設置する事を目標に行動するのは当然の事です。私自身、企画書を作成して都庁に売込みに行った事を今でも覚えています。真夏の祭典である東京オリンピック。東京都が自慢の水道水を世界に売込むチャンスである。「東京の水」が熱中症予防やペットボトルのゴミ問題も解決してくれますと伝えたものです。その結果、全ての競技会場にプレッシャーウォーターが設置されることになりました。
現在、首都圏でも羽田・成田空港はじめ、都営地下鉄・都庁・議員会館等、約17000か所に設置されています。
これがもし「中国ビジネスが軌道に乗った後」とか、「水宅配ビジネスの経営が落ち着いてきた後」に、次の事業領域の拡大として製品を探そうと思ったならば、東京オリンピックはOSGのビジネスに何の関係もなく、また自販機がなければ、ドラッグストア市場に関わる事はない訳です。

30代後半にあのピータードラッカー博士から直接教えて貰った「市場はあるのではなく、市場は作るのだ」を体験した訳です。

ここで改めて説明を加えておく必要があります。この「人プラ」は私自身を中心に書いていますが、私の後ろには当然の事ながら多くの社員さんの存在があります。この社員さんのチカラ無くして私のお話はありません。
では何故、社員さんを登場させないのか。この事に対しては以前にもこの「人プラ」で伝えていると思います。それは私が把握している優秀な社員さんを取り上げると、逆に私自身が把握していない優秀な社員さんに対して申し訳ないからです。それは間違いなく不公平です。よって「人プラ」(人生はプラス思考で歩きましょう!の略)では、私を中心にして書いていますが、その背景には多くの社員さん達のチカラがあります。
アルカリイオン水自販機もプレッシャーウォーターの躍進もOSGの社員さん抜きにして語る事は出来ません。これは中国ビジネスにおいても水宅配ビジネスにおいても同じです。ドラッグストアやスポーツジムに自販機を設置したり、プレッシャーウォーターを売り込んだりしてくれている社員さんがいればこそ、この市場は作れたのです。
改めてOSGの開発部や営業部隊のメンバーは素晴らしいと思います。

さて、話を元に戻します。
この回は、私の思考回路についてお話したかったのです。
皆さん方もそうですが、仕事でいろいろな問題を抱えていると思います。いわゆる「いっぱいいいっぱい」の状態です。多くの問題を抱えていると、本来余分な事を考える余裕等ない筈です。ところが私の場合、私のその余裕のない思考回路に「余分な事」をむしろ入れようとします。

「いっぱいいっぱいだ」と思っているから「いっぱいいっぱい」になるのではないでしょうか。自ら限界を作っているのではないかと思います。その事以外の事は寄せ付けないようにしているのかもしれません。しかし私の経験から言えば「いっぱいいっぱい」の状況だと思った時こそ、敢えて他の事を考えてみる事です。
このように言えば「いやいや、それはムリです。いっぱいいっぱいという状況はそれすら考えられないから、いっぱいいっぱいなんだ」と反論されるかもしれません。
そうです。「いっぱいいっぱいだから」「取り組んでいる問題で余裕がない」という自らそのような「余裕のない」状況を自ら作り、その為に新しい情報を自ら遮断しているのかもしれません。
「気分転換」という言葉があります。いっぱいいっぱいの状況だから、この「気分転換」が必要です。そこで殆どの人は映画観賞や、音楽やスポーツで「気分転換」をします。
何となくわかってきました。私の場合、この「気分転換」が「別の仕事」なのです。

例えて言うなら、人はお腹が満腹になった時に「いっぱいいっぱい」と言いますが、デザートを出されると「別腹」と言います。私の場合、それと似ているのかもしれません。
今の仕事でいっぱいいっぱいの状態なところに、更に上乗せで敢えて「別分野の仕事」を取り入れて気分転換を図るというのは「デザートの別腹」に似ていますかね!
こうしてOSGの自販機やプレッシャーウォーターは、中国ビジネスや水宅配ビジネスで「いっぱいいっぱい」の状況下に生まれた訳です。

2020年の東京オリンピックと言えば、次は2025年大阪・関西万博。
そういえばOSGが誕生したのは1970年の大阪万博開催の年。「よし、次は大阪・関西万博だ。この市場作るぞ!」と言いながら、もしかすれば全く別の事を考えているのが私の思考回路です。

(次回に続く)

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