代表取締役 湯川 剛

OSG製品「A-50」の総発売元の権利を持つ天然社は、代理店の売上低下に対して総発売元としての義務を果たしていませんでした。そこで中国OSG法人 欧愛水基は新製品「B-50」を生産し、活路を見出そうとしていました。
「B-50」の総発売元に名乗りを上げてきたのが、天然社の山東省済南代理店でした。
彼の名前は劉岩。1973年生まれ。03年に初めて出会った時、彼は30歳で私は56歳で親子程の年齢差です。出会った当時は社員30名前後の代理店でした。
私は数多い代理店の中で特に劉社長に関心を持ち、かわいがっていました。その為に徹底的に社員教育をしていました。彼も教育熱心でOSGの日本式社員教育に大変興味を持っていました。社員教育を浸透させる為にもまずは経営理念を確立させました。
OSGの社員さんが経営理念を暗唱するように彼も自社社員に経営理念の暗唱をさせました。劉岩社長は他の代理店社長とは違って少し利益を上げたからと言って高慢な態度は取らず、派手な車に乗る訳でもありません。とにかくむさぼるようにOSGの社員教育について吸収していきました。

彼は金鋭氏に育てられ済南市の代理店として地方都市の市場を貰いました。他の代理店と同様に金鋭氏に恩義を感じる一方、天然本社を離れた金鋭氏が天然市場を荒らしている事については反発していました。尊敬する金鋭氏だからこそ、落胆も大きかった筈です。
彼は一早く天然本社との取引にも見切りをつけた上、独自の商品開発を行ない「私と手を組みましょう」と言った09年当時には既に200名を超える社員を有していました。

劉岩社長とは26歳も離れていますが、人間的にも魅力を感じ何よりも経営者としての姿勢が素晴らしい人物でした。一時はこの会社と業務提携をする事も視野に入れて何度か話し合いを持ちました。彼の考え方は単に済南エリアや更に山東省エリアではなく、中国全土に広めていきたいとの構想でした。天然代理店300社を市場にしたい気持ちがあったのでしょう。私としては天然本社と対抗する事が正しいか否かは別にして、この若い経営者に賭けてみたい気持ちはありました。まして天然本社があのような権利だけを主張し、義務を果たさない事に嫌気がさしていた事もありますが、それよりこの劉岩の経営手腕に中国ビジネスを委ねてみたい気持ちになりました。

とはいえ、彼と手を組む事はしませんでした。それは天然本社との関係もありますが、やはり金鋭氏や他の代理店との関係を重視したからです。
彼は日本のアルカリイオン整水器の総代理店の権利を得て、中国全土を市場にビジネスをしたかったのでしょう。それから以降、彼とは時々連絡を取りますがビジネス取引はなくなりました。その理由は、彼がアルカリイオン整水器の生産を始めたからです。現状は生産委託工場に託していますが、彼のブランド製品です。他の代理店は「湯川会長からアルカリイオン整水器の販売や社員教育を受けて、何もライバルになる必要はない」と言ってくれますが、私は彼がOEM製品とはいえアルカリイオン整水器の生産をしていると聞いた時、思わずその場で彼に電話をし「凄い!!」と称えました。「アルカリイオン整水器の事でわからない事があれば聞いて欲しい」とも伝えました。
あれから10年。今や社員2000人を超える優良企業に成長し、中国を代表する若手経営者として時々テレビ番組等にも登場しているようです。

年に1~2度、食事をしながら意見交換します。元々は販売を中心に成長してきた会社なので生産に対しては気苦労も多いらしく、相談される事もしばしばです。
「弊社の幹部は全て湯川会長から教育を受けた者ばかりです」と彼はいってくれます。
劉岩社長の会社が大きく成長した原動力はOEMの健康食品です。2年ほど前に「OSG東京大学食の安全安心研究所」にこの健康食品の分析とお墨付きが欲しいと頼まれ、快諾しました。劉社長とかつての研修生で今や劉社長を支えている幹部らが来日し、昔話に花を咲かせました。その時、中国産アルカリイオン整水器は計画通りには行かないと悩みを打ち明けてくれましたが、だからと言って私も「欧愛水基の製品を販売して欲しい」とは言いません。いつか機会があれば、戻ってくると思っています。

次回は、天然本社以外の取引から引き起こされたいろいろなエピソードをお話ししたいと思います。天然本社はどうするのか、金鋭氏はこの変化にどう動くのか。

(次回に続く)

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