代表取締役 湯川 剛

09年3月4日 早朝6時。
私はその日の大阪での予定を全てキャンセルし、JF社に車を飛ばしました。
当時、年に数える程しか自ら運転しない私でしたが、JF社の所在地がある千葉県茂原市に向けて車を飛ばしました。

「9時頃にお越し下さい」と言われて、数キロ離れたマクドナルドで時間を調整しましたが8時過ぎにはJF社に到着していました。大型トラックが出入りをチェックする守衛室で「本所社長とお約束しています」と言って通されました。昨日も通った場所です。
自ら運転した車を駐車場に止めると急いで玄関に行きました。食品会社としての衛生上の問題のために靴を履き替えるのですが、そこに担当の方が待って頂いていました。昨日の謝罪の場におられた一人です。昨日の今日で多少不思議な気持ちで迎えられたと思います。「朝一番の新幹線で大阪に戻ると言っていましたが帰らなかったのですか」が異口同音でした。JF社の幹部の方から知らされていても、私の突然の訪問に本所社長はやはり驚かれている感じでした。しかし何か察してくれているような雰囲気を感じました。

私が初めてJF社を訪問した際に通された社長室の隣にある会議室に案内されました。
会議室では私と本所社長との2人きりの面談でした。そこで私は本所社長に向かって次のようなことを話しました。
昨夜一晩考えた事。丹羽会長の「これからは水の時代」というメッセージ。水宅配事業への思いと、なぜJF社が取り組まれようとされたのか。
そんな事を10分程度話し、そして「もう一度チャンスが欲しい」と訴えました。

当初の予定では資本提携での話で進んでいました。テスト販売のミスがなければ、昨日に証券会社同席の下に資本提携の話が決まっていた訳です。そこで本来なら持って頂く予定にしていた株式数より少ない株数を具体的に提示し「資本提携も含めて考え直して欲しい」と伝えました。
本所社長はその事に対しての質問や確認もなく「わかりました。少し待って下さい。幹部と相談します」と本所社長は部屋を出られました。15分程して社長と幹部の方2名が部屋に入ってきました。

「湯川さん、分かりました。やりましょう」

私は胸の中が熱くなりました。本所社長はじめ幹部の方々が穏やかな笑顔でした。誰一人として販売のミスを問われなかったし、業務提携解消になった事への話は一切ありませんでした。私は本所社長の手を握り「ありがとうございました。よろしくお願いします」と頭を下げ、幹部の方々と握手しました。

今回の急展開の出来事は私だけの強い思いだけで実現したのではありません。私の思いをしっかりと受け止めて頂いた本所社長や幹部の皆さんの思いがあればこそ、実現したものです。わずか15分前後のJF社の社長室の決断は、私の知らないところでありますがそれなりの問題があったと思います。瞬間の決断は大きなリスクを背負うかもしれません。それを背負って頂いた訳です。たぶん本所社長の強力な指導力が発揮されたのでしょう。

そしてその事が何事もなかったかのように社長以下幹部の方々が穏やかな笑顔で接して頂いた訳です。改めてJF社の決断には感謝し、本所社長の協力にも感謝の気持ちでいっぱいです。

(次回に続く)

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