代表取締役 湯川 剛

09年2月3日、JF社の東京支店で本所社長をはじめ幹部の皆さんと、どのように拡販していくかについてミーティングを行ないました。というのも、JF社は「物を売るという経験」が全くないために社内からの反発が予測されたからです。JF社は大手飲料メーカーからの受託飲料充填事業が中心の企業です。日本人なら誰もが知るテレビCM等で馴染み深い高知名度の大手飲料メーカーの受託飲料充填事業が本業ですので「売る」事などは必要ないのです。
ましてや一般のお客様に物を売る等、考えられない事です。そのような企業体ですので、当然社内的には販売することに賛同を得るにはなかなか難しかっただろうと思います。
JF社は他社ブランドのOEM品を生産する、いわゆる縁の下の力持ちのような立場です。
例え有名ブランドとはいえ他社製品を作っている事で社員さんはじめ従業員の皆さんが誇りを持つ事がなかなか難しい。そこで自分達が手掛けるブランド製品が欲しいという事が、本所社長が考える今回の水宅配ビジネス参入の主旨でした。
どこの会社にもあるようにトップが考える10年先・20年先の事は、たとえ幹部・管理職とはいえトップと同等の熱量で考えるのはなかなか難しい事だと思います。一般社員さんになれば尚の事です。現在の事業がうまくいっているのに、何故わざわざ他の事業に手を出すのか。特に今回の「B to C」のように、一般消費者に向けての販売等、今までにない事業形態になぜ参入しようとするのかと考えたりもするでしょう。しかし経営者は「順調な時にこそ、次の手を打っておく」と考える訳です。こうして文章に表すと簡単な事ですが実態はなかなか難しいです。

そんな中でテスト販売が行なわれました。
WNとしては、テスト販売で実績を作り、「これはうまくいく」と自信を持って頂ければ、これ程の喜びはありません。JF社にとっても「テスト販売の成功」は新たな経営資源の発見です。
これにより社内的にも資本参加はスムーズに進むと思われます。
WNはテスト販売とはいえ、慎重の上に慎重を重ね、社内で検討しました。
万が一にも、過去の経験であったサーバーでの水漏れ等、不具合の発生等は論外中の論外です。
これは他の加盟店様にも同様であるものの、特にJF社案件については気を配るようにWN幹部が現場に指示を出していました。

にも関わらず2月末に「不具合発生!!」が起こった訳です。「どうしてなんだ!!」

本来であれば不具合は不具合として対応しながら進めていきます。例えば水漏れが発生したならば、すぐさま加盟店様を通じてユーザー様を訪問。謝罪し不具合対応を行ないます。勿論、加盟店様からもお叱りを受けますが殆どの場合、販売は継続される訳です。

しかしJF社は、不具合発生によりテスト販売が即刻中止となりました。1つのミスも許さない程、品質管理が厳しいJF社にとっては当然の判断だったのでしょう。こんなWNとは今後、一緒にやってはいけないとの判断だったと思います。
この日の出来事を私は日記に「3月2日。証券会社からの連絡によるとJF社は今回の不具合で今後の協議を進めるかどうか、社内で二転三転の状況との報告」と記してあります。

そして3月3日16時。
本来、「テスト販売の中間会議」であったその場が、まさか「謝罪する場」になってしまうとは思っていませんでした。

(次回に続く)

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