代表取締役 湯川 剛

08年8月29日。OSGの創立日であるこの日、日興証券から電話がありました。
「東証一部上場のジャパンフーズさん(以後、JF社)が、湯川会長と面談したいとOSG訪問を希望」との事で、用件は水宅配事業に対しての意見を伺いたいというものでした。
私は「千葉にあるJF社が大阪にわざわざ来られるのは恐縮です。私の方から参ります」と返答しましたが、後日「やはりJF社がOSG本社を訪問したい」と言われ、しかも担当役員ではなく、社長自らが訪問希望しているとの事でした。

その時までJF社という社名は聞いた事もなく、四季報には「東証一部にて総合飲料受託生産最大手」とあり、「格が違うので、やはり私から訪問する」と日興証券に改めて連絡しましたが、JF社は変わらずOSG訪問の意向を示されました。
JF社に関しての情報を事前に教えて欲しいと日興証券担当者に伝えたところ、「伊藤忠商事系」との事でした。どのような話で来られるかは分かりませんが、「伊藤忠商事」の社名に私は「是非ともパートナーとして組みたい」と面談前から強い気持ちに駆られました。
それには、1つ理由がありました。

そもそもこの水宅配ビジネスに参入するきっかけになったのは、当時水宅配事業の先駆けとしていたアクアCジャパン社が04年11月4日に倒産した翌日、藤本塾長との朝食会での会話から水宅配ビジネス参入のストーリーが始まります。(第270回掲載)

その後の藤本塾長とのやりとりが、第310回に記載されています。

『藤本塾長との面談で「水宅配事業はOSGの資本だけでは行なわない。幅広く出資者を決めて多くの方々からこの水宅配ビジネスの協力者を作りたい」旨を伝えました。
藤本塾長が「出資者としてどこか希望の会社がありますか」と尋ねられたので、私は3~4社の大手企業の名前を出しました。カード会社・宅配会社、そして大手商社の名前も出しました。
こだわったのは特に大手商社です。旧アクアCジャパンは結果的には倒産しましたが、創立から短期間で成長出来たのは五井物産の賜だという事を、関係者は知っていました。それだけに大手商社の出資にはこだわりました。
「具体的な希望商社はありますか」という質問に私は迷う事なく「伊藤忠商事をお願いします」と言いました。
三菱商事でもなければ、住友商事でもなく伊藤忠商事と言った理由は定かではありませんでしたが、藤本塾長にははっきりと名指しをして出資の依頼をしました。
それから数ヵ月後、藤本塾長から「湯川さんの言われた会社は全てダメでした」と回答がありました。私はどうしてダメなのか、またどの担当者と話をされたのか、まして「本当に打診したのかな」など確認する事もなく塾長の回答をそのまま受入れました。』(第310回より抜粋)

ウォーターネット誕生からずっと「伊藤忠商事」という会社が無意識の意識下にあった事は事実です。JF社は「伊藤忠商事系」の会社であり、本所社長は伊藤忠商事からの出向であると事前に聞かされました。私にとって4年ぶりに「伊藤忠商事」の社名が浮上した訳です。どのような内容で来社されるのか、全く分からない中で私は何と気楽に8月29日の創立記念日に大きなプレゼントを頂いたような気がしました。

この日、コンプライアンス委員会が17時から行なわれ若手委員会のメンバーを誘い、19時に食事会を開きました。「今日、憧れの会社がOSGを訪問したいと日興証券から電話があった」と喉から言葉が溢れ出そうになりましたが、食事会ではそれをグッと我慢して飲み込みました。それにしても「伊藤忠商事」に何故こだわっているのかは、私自身全く分からないまま。
過去に取引した事もなく、強いて言うならば、私の知人のお嬢さんの結婚相手が伊藤忠商事の方であるという以外に何の脈絡もありません。

そして9月9日13時。OSG本社に本所社長と役員・企画室長が来社されました。

この出会いが運命の出会いになるのでしょうか。


(次回に続く)

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