代表取締役 湯川 剛

前回までは「社長交代」を中心に掲載しました。昨年の12月20日掲載(第346回)から前回の6月10日掲載(第363回)までの約半年にわたる長期掲載でした。36年8ヶ月間の社長の座から移行する訳ですから、その間のいろいろな出来事をついつい書き込んでしまい、読んでいる方には「もうその話題はいい」という声が聞こえてきそうです。
1970年夏に私を含めて5人の若者が5坪の貸し室からスタートしたこの会社が株式上場まで成せたのは、お客様をはじめ多くの方々のご支援がなければ語れない年月であります。更に社員さんの存在を抜きにしてこの会社の存在はありませんでした。その社員さんの中から2代目社長が誕生するのですから、正直言ってまだまだ書き足らないところがあります。

私の会長としての行動については、次回(2018年7月1日 第365回)よりお伝えしたいと思いますが、改めて、会長は何をするのか、また社長との業務に対する区別、すなわち新社長と会長の役割分担について、今一度説明したいと思います。
まず、新社長はOSG本体を経営します。そして会長に就任する私はOSGの未来ビジネス構築分野を担当します。具体的に言うとOSGの子会社である水宅配ビジネスのウォーターネットと中国法人欧愛水基を経営するという事です。
親会社の会長が子会社の経営を行なうというと一見、組織的におかしな話だと感じるかも知れませんが、子会社というよりこれらの会社がOSGグループの未来を担っている訳ですから、会長である私が子会社を経営するからと言って、私自身には何のためらいもありません。

これまでの中国ビジネスに関する話(第323回:2017年5月1日掲載~ 第335回:2017年9月1日掲載)と、水宅配ビジネスに関する話(第336回:2017年9月10日掲載~第344回:2017年12月1日掲載)は、何と半年ないし1年前に掲載した話ですので、殆ど忘れておられると思います。

そこでざっくりと中国ビジネスと水宅配ビジネスのあらすじを振り返ってみます。
その前に何度か掲載していますが、02年2月1日の新年度初日にOSGは「事業領域の拡大とグローバル化」を宣言。言うまでもなくグローバル化の具体化した行動が中国ビジネスの進出であり、事業領域の拡大の具体的事業がこの水宅配ビジネスへの参入でした。
これら2つのビジネスがOSGグループ全体の足を引っ張り、その結果、株主総会で初の議長を務める新社長に辛い思いをさせる原因になりました。また私の持ち株購入の話も持ち上がり、あわやOSG買収!?の状況を生んでしまう訳です。

では中国ビジネスについて、昨年の9月1日掲載までのあらすじです。
2003年、香港上場会社天然社に対しOSG製品を中国輸出。翌年04年に現地法人を設立。
順調に売上が推移する中、05年7月に中国衛生部より「我が国はアルカリイオン整水器なる製品を認めている訳ではない」と、衛生部ショック勃発。まさに「好事魔多し」の事態を迎える。
ところが、同様の衛生部の動きが2000年にも発生しており、2度目の衛生部ショックである事が判明。この事態に対しOSGは、中国衛生部及び中国保健協会や中国大手生産メーカー等を日本に招聘。日本におけるアルカリイオン整水器の実情を知らせる。
アルカリイオン整水器の医療認可承認工場を管轄する厚生省の大臣との面談や行政との協議、更に日本機能水学会の参加等、積極的にこの事態収拾に努めると同時に、中国における認知向上に向け行動。中国での業界基準制定等を皮切りに、ネガティブな事態をプラスに変える大きな事例を作る。
事態好転に見えたその一方で、第2次衛生部ショックはOSGのパートナー企業である香港上場会社天然社のお家騒動を誘発し、OSG製品の推進派菫事長が失脚。OSG中国現地法人の経営の屋台骨のグラつきが、親会社OSG本体にも大打撃を与える。果たして、OSGの中国進出は正しかったのか。またこの事態は乗り切れるのか・・・。
ここまでが07年12月までのお話です。

次に水宅配ビジネスについて、17年12月1日掲載までのあらすじです。
大手水宅配会社の倒産をきっかけに、水宅配業界へ参入。
ウォーターネット(WN)設立において有名アナリストや人気経営者・大手LPガス系経営者等が参画。この3人組は、WNの将来性を感じ取ったのか、支配権獲得の画策劇を展開し、ついにはWNが推進している2WAY方式(リターナブル方式で容器を回収)と真逆の1WAY方式(容器渡しっぱなし)を提案するに至り、意味不明なサーバーの権利を得る為だと増資の話題を持ち出し、経営に混乱を招く事態に発展。彼らが提案する資本増資に伴って軍門に下るのか、それとも彼らと袂を分かち自主自立の道を選択するのか、経営者の決断を迫られる。1WAY・2WAYの問題は、WN創業来の「循環型社会を目指す」という経営姿勢の違いは承服できず、彼らとは決別。
創業当初は有名アナリストや人気経営者、更に大手LPガス系経営者らが集まるWNとして話題を集め代理店募集に大きな影響を与えたが、3人組との決別による後遺症が残る中、再出発。
さて、この3人組はその後、1WAY方式の会社を設立するが水宅配ビジネスを単なる「金儲け」の道具としてしか見ておらず、この「理念なき水宅配参入」は数年後、3者ともが裏切りを重ね別れていく結末を迎える。

グローバル化を目指した中国進出。事業の多様化を具現化した水宅配ビジネスの参入。
果たしてうまくいくのか。この2つの成功がOSG未来ビジネスに繋がると信じながらも、まさに背水の陣で私は挑むのでした。

次回より、私が会長になって以降の話になります。


(次回に続く)

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