代表取締役 湯川 剛

衛生部ショックは、中国事業だけに留まらず、日本のグループ本社にも影響を与えました。
中国市場においてアルカリイオン整水器の信頼回復は、相当な時間を要すると覚悟しました。
そんなどん底の状況下、世界の白物家電で有名なH社から「OSGの電解槽技術を我々の製品作りに協力して欲しい」と連絡が入りました。ここまでが前回の話です。

「H社は洗剤を使用しない洗濯機を発売している。環境問題として河川の汚染原因である家庭排水により河川の汚染を少し軽減出来るよう、洗剤を使用しない洗濯機は中国全土でも大きな評価を得ている」「ただ、ここにきて洗剤を使用しない洗濯機の肝となる部分の電解槽を更によくしたい為、OSGに声をかけた。どうかOSGの技術を我々に提供してくれないか」

この話を断る理由はありません。中国市場は家庭用アルカリイオン整水器の売上不振で、何とか打開しなければならないという気持ちと、何と言っても中国最大のH社からの話に気持ちは高ぶりゾーン!!から興奮ゾーンへと移行しました。

事業部長の話の後に、実質責任者の部長を紹介され、今後は彼と話す事になりました。

7月29日に再訪問。技術チームとの会議でOSG電解槽の品質データを見せたところ、全員が小さな声を上げました。その後、洗濯機事業部の責任者より「是非ともOSGの電解槽を使用したい」との事で、次回8月に具体的な話をしようという事になりました。
「今まで、電解槽はどうしていたのですか」と質問すると「中国メーカー製で納品価格には不満はないが、技術的には今ひとつ満足していない」との理由で、OSGに白羽の矢を立てたという事でした。しかし「日本産の場合、納品価格が問題になるのでは?」と尋ねると、新型洗濯機を売出すので多少価格が高くなっても構わないとの事でした。年間100万台の販売実績があり、高価格新型洗濯機を発売すれば少なくとも年間10万台は売れるとの予測から販売計画を立てているとの説明がありました。

8月22日。私は韓国の代理店N製薬の訪問を終え、ソウルから青島へ移動しました。
翌23日の10時から会議開催。具体的な納品価格や納品台数について話をしたいと再訪を要請されたので、私は期待を膨らませながら3回目の訪問をしました。
「電気分解した水を食器洗浄機にも使用できないか」と商品開発は洗濯機から食器洗浄機へと話しが進みました。
次の会議ではより具体的に話をつめて、発注書を発行出来るかもしれないとしながら、日程は、後日伝えるという事でした。
大体は次回の会議日程はその時に決めるのが通常のやり方ですが、H社に限っては「それは決められない。理由は日程を決めても中国事情により日程が変わる事があり、それは逆に相手にも迷惑がかかる。よって我々の希望する日時にあえばそれが会議の日としましょう。少なくとも2週間目にはお知らせします」との事でした。

家庭用アルカリイオン整水器が衛生部ショックの影響から中国市場で信頼回復出来ていないし状況の中で唯一明るい話題である為、会議日程が中国側の諸事情により事前に決定されないのは小さな事と判断しました。
何せ、世界の白物家電ナンバーワン企業からの話であり、更に環境汚染を阻止するH社肝いりの新製品に我社の技術が生かされるという期待は、我社の開発部にも大きな喜びでした。
10時から開始された会議はスムーズに進行し、ランチをH社の社内食堂で済ませた私は、大きな期待を抱きながら青島から上海に向けて移動しました。

帰国後の28日、大阪にあるHジャパン社の日本支社長を訪ねました。
「実は貴社の中国本社を数回訪問している。守秘義務より詳細を話せないが、中国本社では洗剤を使用しない洗濯機が開発されているというが、どういう状況か、教えて貰えないか」
そう尋ねると日本人の日本支社長は「日本ではその商品は販売していないが中国では販売されている。後継種の開発ではないか」との事でした。

翌8月29日は、36回目の創立記念日でした。

(次回に続く)

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