代表取締役 湯川 剛

05年10月。反日・反中感情が高まる世情の中で中国衛生部が来日。
中国政府・衛生部は日本政府・厚生労働省に対して「来年7月に、中日功能水シンポジウムを北京にて開催したい計画がある。厚生労働省から参加して貰えるか」と要請されました。

結果的に厚生労働省も「了解しました」と快諾して頂き、私達は安堵しました。
その結果、以前にも簡単に説明をしたと思いますが翌06年7月、北京において「日中水関係品の法律規制と学術シンポジウム」が開催され、日本厚生労働省からも参加。実に画期的な出来事です。
シンポジウムの内容は、中国での電解整水器も品質安全確保のため、規格基準が必要であるとの認識から以降、中国保健協会及び中国功能水分会の主導により、日本JIS基準を参考に協会基準の策定。
更に翌年07年3月22日には、中国保健協会「功能水製品規格基準」を策定し、日本JIS規格基準を基に中国保健協会基準が完成しました。

中国生産品においてアルカリイオン整水器の心臓部分にあたる電解槽の材質等に安全性を脅かす材質の存在が判明し、「電解槽基準」作成が必要だと、これについても次回策定を決定。
そして同年11月、北京にて日中功能水機革新技術シンポジウム開催。
その後も08年2月、西安にて日中電解槽標準技術シンポジウムを開催。
09年9月には日中飲用水文化交流セミナーが北京で行なわれ、続いて10年5月、中国功能水効果功能、及び推進モデル研究 兼 日中功能水技術交流フォーラムが北京で開催されました。

こうして今回の衛生部ショックを機に、業界全体を揺るがす危機(ピンチ)を絶好の機会(チャンス)として業界全体の改善に取り組む事になりました。

いままで放置していた基準整備に力を注ぎ、中国保健協会「功能水製品規格基準」を策定しましたので、業界全体としては前向きな方向に進んで行った訳です。
ところが、こうした動きとは真逆の方向で実態の経営としては大きな影を落としました。
基準策定に動く一方、衛生部ショックによる余波をなかなか払拭出来ず、中国市場の消費者に対し信頼回復は容易ではありませんでした。厳しい状況下、当然の事ながらOSGの中国企業、天然三愛は大きな打撃を被る訳です。

中国市場の売上低迷を何とか打開しようと日本から人材を投入。それは結果的にOSG親会社にも影響し、06年7月の中間決算で初の年度修正を発表するに至りました。

「一番槍」という言葉があります。
戦場で敵陣に向かって最初に槍を突き入れる「一番槍」はまさにサムライ精神の象徴ですが、現代風に言えば「リスクを取る」という事です。

真っ先に敵陣に突入するという事は「討ち死にする」確率が高い。
しかし同時に「褒美」が得られる確率も高い。リスクに対して大きなリターンを得る事はサムライ精神の真髄であり、それは企業家精神にも通じる。

どこかでそんな文章を読んだ記憶があります。命がけの生き死に事を例えにするなど少々大げさだと思われるかもしれませんが、当時、企業生命として大きな痛手を負った事に間違いはありません。

(次回に続く)

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