代表取締役 湯川 剛

浜松に本社を置くこの浄水器メーカーW社は恐らく、日本で本格的に家庭用浄水器を広めた第一人者だと思います。記憶は定かではないのですが、確か設立わずか5年。当時K社長は私より10歳上の34歳。W社は、この1年で工場も含めて200人以上の社員を増員していました。

その社員の殆どが召集されての社員総会が9月にありました。社員でないのは私だけでした。
行くと席順が決められてあり、幹部から順番に座らされているということですが、私はかなり前の方に座らされました。すなわち幹部待遇の形で招待された訳です。
席上、社長挨拶があり「1000日の約」なる話をされました。すなわち「3年間の誓い」として業界ナンバーワンになるとの事、だから3年間は闘おうという内容でした。35年前の話をこうして記憶している位、私には新鮮で真剣な思いで聞いていました。たぶん睨むような目で聞いていたのでしょう。その夜、K社長は幹部を連れ立っての食事に、私も連れて行ってくれました。その時K社長に「殺気立った目をしている」と言われたことは、今も覚えています。その夜は大いに食べ、大いに呑み、大いに将来を語り、社長のご自宅に泊まる事になりました。意気投合とは、この時の言葉かと思ったくらいでした。たかだか24歳の私を一国一城の主として対応してくれた事に感動もしました。今までそのような経験はなかったので、その気持ちを強く感じました。朝方まで話し合いました。

私はこの総会に参加したどの社員よりも「1000日の約」を自分の3年間の目標として、同時に、若き34歳の社長の夢に役立とうと誓ったものです。現場に戻ってから以降も、更に仕事に加速をつけました。W社大阪支店の同じフロアに間借りしていた小さな部屋には、入りきれない程に社員が増えました。「そろそろ元にいたビルに戻り、少し広めの部屋でも借りようか」と思っていました。その事を大阪支店長に伝え、必ず業界ナンバーワンに大きく貢献致します、と言ったのが11月の終わり頃でした。

しかし、この申し出が自分にとって大変な事態になるとは、思っていませんでした。

(次回に続く)

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