代表取締役 湯川 剛

社長業の私は当然、多岐に渡って業務を遂行しなければなりません。
銀行や証券会社とのお付き合いから、投資家への訪問。お取引先様への対応や材料などを供給して頂いている協力関係企業とのお付き合い等、社外だけを見ても目まぐるしいスケジュールです。社内に目を向けると学生向けの企業セミナーや営業会議・新製品開発会議等もある訳です。当然の事ながら私1人で全てを出来る事ではなく、担当役員や幹部・担当責任者等に委ねていかなくてはなりません。
次々来る彼らの質問に瞬時に回答し、時にはその場で決断して出来る限り問題を停滞させないように次々と手を打たなければならない訳です。

それでも私の業務には優先順位がある訳です。トップ自らが動かなくては経営に大きな影響をもたらす場合がそれに当ります。特に私は、ここぞと思う課題には一気にエネルギーを集中させます。そういう意味で当時は中国進出の成功のカギである中国全土に広がる代理店の訪問には時間のある限り、一点集中でエネルギーを費やしました。詳しくは次回でお話します。

そんな中、国内の動きについて2004年4月に面白い2つの出来事がありました。
それは後々OSGが水宅配業界に参入するのですが、これがまさかこの4月の出来事にあるとはその時は思ってもいませんでした。

まず1つの出来事についてです。
以前、OSGはプロ野球OBで構成しているマスターズリーグの大阪の球団を2年間の約束でオーナーになった事はお話したかと思います。
そんな関係で福岡のマスタリーグチームのオーナーと知り合う事になりました。オーナーの本業は建築・不動産関係で手広く福岡で経営されているという事です。オーナーの話によると最近、水宅配ビジネスをしているとの事で、4月に入りプラント等を見学に行く事になりました。
当時は「ふうん、こんなものか」程度に思い、もし自分がするならばもっと衛生管理を充実させると思いましたが、それ以上の感情は湧きませんでした。
勿論、水宅配ビジネスは中国でも韓国でもその存在は以前から知っていましたが、水宅配ビジネスはその国の水道事情の悪い地域で成り立つもので、上水道設備が整っている日本では関係ないと思っていました。
いずれにしろ、このプラント見学は私に何の問題意識も感じさせず、その時は終わりました。

もう1つの出来事です。
以前から何度もこの「人生はプラス思考で歩きましょう!」で登場してくるカリスマファンドマネージャーと呼ばれているF氏。以前も書きましたがF氏と私とは20歳近く離れた年齢にも関わらず、私は彼の考え方に共鳴するところがあり、勝手に彼の名前をもじって「F塾」と呼んで塾長と塾生の関係でいました。
そのF氏が後々、水宅配事業参入に影響するとはその時は思っていませんでした。
その2004年4月にOSG幹部を対象にF塾長の勉強会がありました。

ちなみに当時のノートを広げると下記のようなことが書かれてあります。
①目に見える財務、目に見えない財務
②バランスシートに表れない資産(組織資産・人的資産・顧客資産)
③どのようにそれを判断するか現場を廻って、感性・感覚を磨く。
「何となく寂しい会社だな」「何となく元気な会社だな」を感じる事が大事。質だけでなく量で数多く廻る。こなしながら質を見る目が出来てくる。何となくのニオイを嗅ぎ取る。
④若い人に対して豊かな社会で育成している、そんな中でマネジメントするにはどうしたらいいか、使命や誇りが必要
⑤「ゼロ」と「イチ」の差は大きい、だから1回だけの訪問では分からないが、行かなければ全く分からない

今、このノートを広げるだけで当時の勉強会が思い出され、納得する事ばかりです。
そしてこの学んだノートに書かれた内容に反するような真逆な出来事が、その後の水宅配事業に大きな歯車で廻りだすとは、この2004年4月時点では分かりませんでした。

(次回に続く)

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