代表取締役 湯川 剛

第35期がスタートする2004年2月。
私の業務は中国T社との慌しいやり取りでの中国出張だけではありません。国内に戻れば中国出張で生じた空白分を穴埋めしなければなりません。当然の事ながら投資家訪問や学生向けの企業説明会等をこなし、その他、社長業としての業務がスケジュールの合間に入れ込まれていく為、忙しさが年度変わりに入っても拍車が掛かります。
勿論、社員さん達との交流もしなくてはなりません。

3月、前年度のOSG優秀社員を対象とした北京観光旅行が行なわれました。
地元北京代理店は大歓迎で、OSG社員を迎えてくれました。両社の社員交流を行ない、営業の仕方や商品説明そしてお互いの理念の暗誦を発表し合う等、経営者同士以外の広がりも深まりました。まだ寒い北京において紫禁城の見学や万里の長城等を北京代理店の案内でOSG社員さんは寒さに震えながら初体験。夜は代理店の主催で歓迎食事会が開催。和やかな時間を過ごし、OSG社員さん達もこの広い中国でOSGブランドの製品が売られている事に感激し、また自分達と同じような立場で製品を売っている仲間がいる事にも感動しました。
OSGの社員さんは生まれて初めて飲む中国の強いお酒、白酒で乾杯。何人もが倒れましたが、文化の違いがあればこそ交流の意義もあり、言葉は通じなくても笑い声が飛び交う楽しい一夜をOSG社員・北京代理店社員共々過ごしました。OSGのグローバル化がこのようにもっと広く、いろいろな国々で交流出来ればいいなと思いました。

私は終始、社員さん達と一緒に行動している訳にも行かず、翌日には北京に最優秀社員を残して大連に飛び、大連代理店のお客様集会に参加。

金菫事長とまだ出会って6ヶ月も経っていないのに、この親密な関係に将来の中国進出への大きな夢を描くなと言っても無理な話です。それはT社も同じ事でOSGを通じて中国の整水器業界のトップを目指し、寝具製品と整水器製品の2大製品をもって更なる躍進を狙っていました。そんな両社の関係は、中国整水器業界においても話題になるのは時間の問題でした。

そんな双方の親密さが更に深まり「我々も訪日しOSGを訪問したい」という事になりました。金菫事長をはじめT社幹部及び全国主要代理店のトップを連れて訪日したいとの打診があり、桜が咲く4月はじめがいいだろうと来日日程が決定しました。

来日したT社幹部と全国主要代理店のトップら一行は4月3日、大阪本社にて新卒社員の入社式に参加。午後からは両社の幹部で合同会議が開催され、メンテナンスの仕方や社員教育等、意見交流。はじめは私と金菫事長とのトップ同士の人間関係から、次には幹部同士の交流を通じて会社ぐるみでの取り組みと、互いの交流は更に拍車を掛けていくようでした。
歓迎パーティでは通訳を交えて幹部同士の笑い声もあり、プレゼント交換もしました。
またパーティの進行の中で2004年度の輸出台数の調印式もありました。

翌4日にはOSG全国拠点長会議に参加。OSG文化にも触れ、T社一行は工場のある川越へと移動。5日の東京ではOSGの業務用製品が設置されている日本料理店を訪問、食事の後に調理場で業務用アルカリイオン整水器の説明等、彼らは時間ギリギリまで勉強していました。
6日は東京支店の朝礼に参加。この日は3日前に大阪本社で入社式にいた新入社員が、それぞれの部署に配属される日でした。配属される上司・先輩社員の前で新入社員研修中に発表した「5年後の私」のポンチ絵を披露する事になりました。
T社一行が朝礼に参加するにあたり、中国語を話せる新入社員Mに「中国語で説明して下さい」と指示。T社幹部も興味を持ってOSGの新卒社員教育を聞き入っていました。
ところが新卒社員M君のあまりにも上手な中国語に「5年後の私」の内容より、そのM社員自身にも興味を持ってくれました。M社員の「5年後の私」は得意の中国語を生かし日中友好の架け橋として中国で活躍したいとの事。それを聞き終えた一行から大きな拍手が起きました。ここが中国人の良いところです。日本人なら他の会社の朝礼という事もあり、たぶん遠慮して拍手等しないと思います。その点、中国人は素直に表現をします。
私もT社のメンバーが喜んでくれた事に気を良くして「午後からの観光はM君がサポートしたらどうか」と提案し、上司も同意してくれました。
このM君がそれ以降、OSGの中国進出に大きな活躍をしてくれる訳です。

 

追記

この夜、金菫事長が腹痛を起こし緊急入院をしたとM君から連絡が入りました。宿泊先の京王プラザホテル近くの病院に駆けつけました。言葉が通じないのは不安だろうと思っていましたが、金菫事長の親友のご子息が日本に留学されているとの事で彼が付き添ってくれていました。症状は思ったより軽く、私と金菫事長と留学生とで京王プラザホテル内の中華料理店でお粥を食べました。このお粥の味が今も忘れられないと、金菫事長は12年経た今も言います。

(次回に続く)

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