代表取締役 湯川 剛

上海到着の翌日、私は蘇州にあるFCP社の工場を後にして、上海新天地に向かいました。
2003年9月20日13時30分、ヒルトンホテルでT社の金菫事長と会うためです。
過去一度、OSGの協力会社が中国・杭州に工場を建てた時に招待されて上海に行った事がありますが、今回は自社のビジネスの為に行く訳で、前回と気持ちは異なっています。

昨日機内で「上海空港に到着する」というアナウンスと共に上海の街を見渡しました。
眼下のビルの屋上や民家の家・家の屋根を見ながら心の中で「必ず中国でOSG浄水器やアルカリイオン整水器を広めるぞ」と強く決意しました。
勿論、それは6月に弊社を尋ねてくれたT社の存在があり、何度も私と面談をしたいと言った金菫事長との気持ちがそうさせているのでしょう。
第5次4カ年計画の2大目的の1つである海外進出には、すでに韓国のN製薬を通じて経験しているにも関わらず、13億人と言われている世界中が注目する世界最大のマーケット中国は特別な想いが込み上げてくるのです。そして、その金菫事長と今日、会うのです。

新天地のホテルへ到着。私は金菫事長の顔は知りません。しかしそれらしい人物が女性秘書らしき人を従えて、私に近づいてきました。女性は「OSGの湯川社長さんですか」と流暢な日本語で話しかけてきました。
「はい、そうです」と応えると、女性は「こちらがT社の金菫事長です。私は秘書の呉と申します」と、2人を紹介するように引き合わせました。
金菫事長は少し緊張した面持ちで自分の名前を中国語で言い、私に手を差し伸べました。
私はどうした事か、自分の名前を名乗る事もなく日本語で「兄弟」と言いました。
呉さんは少し驚いた顔をしましたが、笑顔で金菫事長に「兄弟(シュンリー)」と通訳したので、金菫事長はその瞬間、満面の笑顔で「おお、兄弟」と握手を求めてきました。
2人は改めてお互い強く握手をしました。
握手をしながら私は改めて「OSGの湯川です」と言い、来日の際に面談出来なかった失礼や製品を購入頂いた感謝等を述べました。
金菫事長は「憧れの人とやっと会えました。よく上海に来てくれました。」といい、
「私は今まで何人もの日本人と会っています。しかし初対面の人に兄弟と呼ばれて挨拶されたのは初めてです。勿論、数回も会いながら兄弟と呼ばれた事もありません。湯川さんはいつもこのように相手に兄弟と呼ぶのですか」と満足そうな顔でいいました。
私は「いいえ、そんな事はありません。多分私も初めての事です。」
私は正直、何故そのように金菫事長に「兄弟」と挨拶したのか、分かりません。
通訳する呉さんもニコニコしながら、私達2人の会話の橋渡し役をしてくれました。
私はふと、不思議な事に金菫事長と以前からの旧知の仲であるような感覚を抱いている事に気づきました。

(次回に続く)

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