代表取締役 湯川 剛

年齢的にもキャリア的にも脂が乗っている46歳でしたので、365日全力疾走は何の問題もありませんでした。月の内の半分以上はGAT訓練や勉強会・講演などで社内を留守にする、すなわち経営者不在の日々が続きました。
そんな私の行動に、主力銀行や証券会社から「本気で株式公開をしたいという気持ちがあるなら、月の殆どが不在というこの教育部門は止めるか、減らすべきだ」という注意がありました。
月の内、半分を他社の教育に時間を取られ、残りの時間で株式公開を実現するなど、株式公開の難しさを理解していないという強い指摘でした。私としては他社の教育が間接的であれ、販売店様管理にもなっていると思っていました。しかし改めて株式公開の準備に対する資料を見せられると、他社への教育を中心とした日々の行動スケジュールを見直さなければならないと、真剣に考えました。

そこでまずは「行動する販売戦略勉強会(略、GAT会)」の各教室世話人の方々に、一時「開店休業」状態のお願いをしました。当時は「株式公開をする」という事に対しては公言していませんでしたが、やむを得ぬ事情の為に世話人の方だけにはその理由をお話したところ「それは素晴らしい。指揮官、是非とも株式公開を実現して下さい」となりました。たちまちそれはGAT会の仲間に知られ、仲間から「株式公開をするのですか」との問い合わせが殺到しました。結果的には、大変なプレッシャーになりました。

社員さんや関係する人に対しては、社内目標の1つとして株式公開を発表していましたが、GAT会の一時中止が社外にまで知り渡り思わぬところに影響を与えました。
お互い勉強の仲間とはいえ、経営者同士。
私が塾長的な立場となって行なってきたGAT会で、塾長の私が「株式公開をする」という事を公言したようなもので、一歩も引けない状況になりました。
「凄い!」「指揮官なら出来るでしょう」など目標を掲げた事を発表しただけだというのに、既にやるのは当然だ!的な雰囲気でした。
我々のGAT会の勉強の目的は「社員教育の大切さを認識し、それが会社の繁栄するにはどうしたらいいのか」がテーマでしたので、それの集大成として「株式公開」という形は非常に分かりやすいという事です。
だから、「それを指揮官が自らお手本を見せてくれる」という事です。GAT会の仲間から見れば、こんなに分かりやすい事はありません。

しかし私側からすれば、万が一、失敗したら、それこそ私が今まで考えていた事や教育の全てが否定されるという事になりかねません。私には大きなプレッシャーがかかりました。もしかすれば、同じ経営者としてお手並み拝見と思っている仲間がいてもおかしくありません。

こんなことならGAT会を中止しなければよかったと、安易に「開店休業」を考えていた私は、自ら自縄自縛をしたようなものでした。

(次回に続く)

ご意見、ご感想は下記まで
support@osg-nandemonet.co.jp