代表取締役 湯川 剛

西山社長:「それはそうと、湯川さんのところは、ネーミングは決まったの?」
湯川  :「はい、決まりました!・・・リズムタッチです!!」
西山社長:「リズムタッチ?何や楽器みたいな名前やなぁ」
湯川  :「そう思いますか」
西山社長:「治療器のイメージやないなぁ」
湯川  :「それなら成功ですわ」
こんなやり取りだったと記憶しています。西山社長は終始、ニコニコしながら聞いてくれていました。

「リズムタッチ」。結局は「みんなの意見を聞く」と言いながら、私が命名しました。
その為か殆どの社員さんは、このネーミングには心から支持しているとは思えませんでした。なにせ自分達が考えに考えたネーミングを全て却下されて、結局は社長の考えた名前に決定となったので無理もありません。ワンマン社長の典型です(笑)。
実のところ、ネーミングについては私自身も必死になって考えていました。それは知名度のある売り易い商品を断念させてまでも、この自社製品を世に出す為のネーミングだからです。

「商品に命を吹き込む」。命名にはそれ位の思い入れがありました。当然、治療器のイメージを変えようと思って考えたネームであっても、そこには意味がなければネーミングの説得力はありません。
ちなみに低周波治療を簡単に説明しますと、低周波パルス電流(3〜1000ヘルツ)を通電し、筋肉を動かして血行を良くさせたり、痛みを抑える鎮痛作用があります。筋肉を動かすのは脳からの信号によって動くのですが、外部から刺激を与えて筋肉を動かし効果的な刺激を与える事です。すなわち心地よい(リズム)を本体から出力コードを経て治療局部に当てる(タッチ)治療方法です。
「よし、コレや、コレでいこう。『リズムタッチ』や」

「スポーツの後にリズムタッチ。ビジネスの後にリズムタッチ。コレ、どうや。少なくともカーターラクラクやモンデルラクラクよりいいで。」と言って、社員さんに説明すると「まぁ、仕方ないか」と社員さん達の温かい愛情と思いやりと、半ば諦めの中で家庭用低周波治療器「リズムタッチ」は誕生しました(笑)。

まさかそれから4年を経た1982年に知名度抜群のアントニオ猪木氏とにこの商品をコマーシャルして貰うとは夢にも思っていませんでした。「猪木のリズムタッチ」は関西圏の40代前後の男性なら、殆どの方がご存知だろうと思います。しかしこの「猪木のリズムタッチ」に辿り着くまでには、幾つかの試練が待ち受けていました。

(次回に続く)

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