代表取締役 湯川 剛

浄水器を普及させる。

浄水器の知名度を上げる。

そうは意気込んでも、小さな会社に出来る事など知れています。浄水器普及の為に自分が出来る事は何だろうと考えた時、やはり自分なりにコツコツと広めていく事、それしか取るべき行動はありませんでした。「浄水器」という言葉が一般に認知されるまで、この製品は絶対に手放さずにやろうという強い決意がそこにはありました。
浄水器の知名度向上の第一歩として、さて何から着手すべきか。考えた結果、出てきた答えは「会社を会社らしくする事」でした。つまり組織の必要性を痛切に感じたのです。浄水器の普及と知名度の向上の為には、社員さんの力は絶対に欠かす事の出来ない存在です。次に出てきた答えは「社員教育の必要性」でした。例の新聞記事以降、社員数は激減する一方で、「数」に期待出来ない分、「質」の向上に力を入れるより選択肢は残されていませんでした。

「少数精鋭」という言葉があります。広辞苑によると「少数の選りすぐった者によって事に当たる事」と説明されてありますが、当時の会社の内情はとても「選りすぐれる」ような状態にはありません。思案した私は、残された社員さんに「これからは少数精鋭主義でやるぞ!」と今後の方針を宣言しました。少数精鋭主義とは何か、自分なりの言葉でその意味も伝えました。「本来は少数の選りすぐった者で事を成すとなっているらしいが、自分も含めそれ程、精鋭ではない。でもこれは別の解釈をすれば、少数だからみんなが精鋭にならなきゃならないのだ。だから今日からみんなは、精鋭であって欲しい。精鋭でなくても精鋭になってくれ!」なんて無茶な要求をしました。
骨のある社員さんや能力のある社員さんは、新聞記事の問題でサッサと辞めていきました。分からない訳でもありません。精鋭な社員さんは辞めて、精鋭でない社員さんが残ったと言えば、残ってくれた社員さんには失礼な話ですが、内心ではそんな気持ちでした。それでも「精鋭になってくれ」と求めたのです。精鋭でなくても精鋭であって欲しいと。それだけに社員教育は絶対に必要不可欠なものでした。

残ってくれた社員さんの顔を見渡せば、人前で話すのが苦手な人達でした。どうして販売の世界に入ってきたのかと疑う程です。しかし採用したのは、こちら側の判断です。面接時には何か感じるものがあったのでしょう。決して加点主義ではないと思いますが、惚れやすいタイプなのか、面接の時、どうも私は相手の良さを必要以上に感じてしまう傾向があるようです。
次の職場を探し、見切りをつけてサッサと辞めていく者がいる中で、「みんなが辞めていくので、湯川社長が可哀想だ」と残ってくれた社員さん達です。そんな人柄の良さが面接のちょっとしたところで出ていたのでしょう。人柄優先か、能力優先かは、迷うところです。人柄がいいが能力はからっきしダメも困るし、能力は凄いがその逆もあります。いずれにせよ、そういう人前で話すのが不得手な彼らに、話せるようになって貰うには社員教育しかないと考えた訳です。

実はこの「話せない」社員さんに対しての社員教育のカリキュラムを考えた事が、後々のOSGにおける社員教育の基礎となり、更に他の企業の社員教育まで引き受けるとは、当時は夢にも思いませんでした。この社員教育制度がOSGを更に急展開させていく訳です。

《編集後記》
本年も1年間、「人生はプラス思考で歩きましょう!」を読んで頂き、ありがとうございました。弊社社員さんに説得され、このコーナーを受け持ったのですが、固辞する私に「社長が思う程、人は読んでいませんから・・・」という言葉に安心して決断しました。
弊社は創立以来、辞めた社員さんの社内出入りは自由です。中には、辞めて数年して戻ってきてくれる社員さんも多数います。先日も辞めた社員さんが社を訪れてくれて、少し話をする機会がありました。「ホームページ、見てます」と言われて驚きましたが、中には昔からの知り合いの方々からもメールで励ましの言葉を頂く事があり、恐縮しています。1ヶ月に2回更新(1日・15日)の為の執筆は正直、時間的に厳しい時もありますが、そのような方々の支えもあって何とか2年間続ける事が出来ました。この1年間、本当にありがとうございました。

(次回に続く)

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