代表取締役 湯川 剛

初めてのお客様訪問は、私のスケジュールの関係で5日間20軒を訪問する予定でスタートしました。いろいろな想像をしましたが、結果的にはいずれのお客様達もとても好意的に受け入れて下さいました。OSGの社員さんをこれ程に親しく受け入れて下さっているのか。それは経営者である私の想像をはるかに超えたもので、大変有難く思いました。
訪問した全てのお客様の事を書くには紙面の関係もあり難しいので、ここではその代表として2軒のお客様訪問をご紹介したいと思います。

兵庫県の尼崎市のお客様訪問をした時の話です。
午前中に訪問したお客様宅でコーヒーを頂きながら話が盛り上がり、予定時間をかなり超えてしまっていました。殆どが笑いで始まり笑いで終わった感じです。私の記憶では弊社の製品の状況やサービス等の質問などあまり聞かなかった感じです。何の為のお客様訪問なのかわかりません。お茶飲み友達のような感覚と言えば失礼ですが、まぁそんな感じで終わっていました。
予定がズレ込み大幅に遅れていました。慌てて車に戻り、車をスタートしました。
「今、行くとお昼頃になる。お客様に変な気を使わせてはいけないのでこちらからお弁当を持っていくと事前に連絡しよう」という事になりました。最初は奥様ひとりで待っているとの事でしたが、連絡を入れてみると嫁いだお嬢さん2人も一緒に待っているとの事でした。「ナニ?会長が来ると知ってご家族で待って下さっている。うれしいなぁ。弁当はワンランク上にしよう」
そんな感じで近くのお弁当屋さんを探し、5つのお弁当を紙袋に入れて訪問しました。
ここでも我社の製品やサービスは一切、話題になりません。むしろお客様の方からOSGの担当者を褒めちぎって下さる状況でした。事前に根回ししてお願いしている位に褒めて頂きましたが、お客様との社員さんとのやり取りを見ていると間違いのない関係でした。
嫁がれたお嬢さん宅でも弊社の製品を使って頂いていると、親子2代で親子3台。これならワンランクどころかツーランク上のお弁当にしておけばよかったなぁ~と大笑いしながら、お客様宅でお弁当を頬張っている風景は今も忘れません。手土産を持ってお客様宅を訪問する事はあっても、お弁当持参で訪問したのは後にも先にもこのお客様だけです。
「会長さん、また来て下さい」
帰り際、殆どのお客様から言って頂いて、本当に有難いお声を頂いたと思います。

お客様とOSGの社員さんがどのような形でつながっているのか、少し説明します。
お客様が代理店様を通じて弊社の製品を買って頂いた後、代理店様がメンテナンスをされます。しかし中には代理店様が「カートリッジ交換含めてメンテナンスはOSGにお願いしたい」という場合があり、弊社のメンテナンス事業を担うKiraKira事業部が受け継ぎます。「お取り付け頂いたその日から末永いお付き合いが始まる」がKiraKira事業部の方針です。そして最低年1回の訪問をし、浄水器等の清掃・点検・カートリッジ交換を行ないます。
担当者はいわゆるメンテナンス7つ道具を持参し、浄水器の1年間の水垢等、隅々まで清掃します。その費用は無料です。OSGは来年で創立50周年を迎えますが、創業以来、変わらずこのメンテナンス業務を行なってきました。このような組織は恐らく、日本国内において大変稀有な存在なのではないかと思います。
最初のメンテナンス訪問では殆どのお客様が戸惑われます。更に弊社では、ハガキ等でお客様の声を聞く部署(さくらセンター)があります。「顧客満足度向上」を目的に設立されたその部署では、フリーダイヤルやアンケートハガキでお客様の声を聞くようにしています。同時に担当社員さんの接客態度等の情報も得ています。
それにしても年に1回の訪問でこれ程までに親しくなれるのかと思っていましたが、社員さんによると近くを訪問した際には必ず声を掛け、弊社製品には関係のない水漏れ等もお手伝いする事もあるらしいです。

次にお話しするのは、そんなお客様との信頼関係が「凄い」と唸らせた場面を紹介します。
大阪市西淀川区のお客様で、ご夫婦で迎えて下さいました。
お茶を頂きながら、この時も弊社の製品やサービスに対する話はなく、若い頃の失敗話等を30分程も談笑。そんな中、「お菓子でも・・・」とすすめて下さろうした奥様の言葉に、ご主人が「会長さんにウチのお菓子など失礼やで」と言われたので、「食べたい。是非とも食べたいですね」と私が言ったところ、その後の展開に私は驚きました。あまりの衝撃的場面に椅子から転げ落ちるかと思った程です。
「では食べて貰いましょうか」と言って立ち上がったのは、奥様でもご主人でもなくOSGの社員さん。まるでこのお宅が社員さんの実家であるかの如く棚の上に置かれていたおよそ20センチ四方のお菓子箱を取り上げ、差し出したのです。
恐らく社員さんはこちらで何度も菓子箱からお菓子を出して頂いていたのでしょう。
私は心の中で「サイコー!」と叫んでいました。

この話をある会社の社長にしたところ「湯川会長、その社員は仕事中、お客様のところでお菓子を食べてお茶を飲んで、時々、さぼっているのですよ。年に1回の訪問でそんな関係は作れないですよ」と指摘にも似た意見でした。しかし私は「サイコー!」と思いました。
こんなお客様との関係を築けるのであれば、それは「仕事をさぼる」という表現は適切ではないだろうし、なかなか実現出来るものではないだろうと思いました。
今回のお客様訪問で一番の収穫は、お客様と社員さんとの関係を知った事です。
勿論、訪問して貰いたいと社員さんが選んだお客様は、恐らく社員さんにとって大変懇意にしている仲の良いお客様だっただろうと思いますが、それにしても訪問する前にはあまり考えていなかった収穫でした。

追記
あのお客様訪問から8年6か月が過ぎました。
お客様のところで勝手に菓子箱を棚から取り出した社員さんは今春、KiraKira事業部の西日本責任者に就任しました。
「その社員は仕事をさぼっているのではないか」という社長の指摘は外れた訳です。

サイコー!

(次回に続く)

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