代表取締役 湯川 剛

第380回までのあらすじです。
伊藤忠商事系の東証一部上場企業であるJF社から水宅配を研究したいというお話を頂き、JF社を訪問する方向でアポ回答したところOSG本社を訪問したい旨、ご連絡を頂きました。初対面の本所社長は関西人独特の気さくな人柄でユーモア溢れる会話はウィットに富んでおり、まるで何年もお付き合いしているような雰囲気でしたが時々、厳しい質問もありました。本所社長は伊藤忠グループ2000社の事業会社の中から毎年選ばれる『10社の社長賞の一人』に選ばれた実力者。2度目の面談として、私がJF社を訪問したところまでが前回までのあらすじです。

今後、双方は定期的に情報公開等をしていく事になり、08年12月にはWN社への資本参加も検討議題に挙げられました。JF社は水宅配用飲料の製造はしていませんが、大手飲料メーカー等の受託飲料充填事業をされており、製造に関し厳しい安全基準で工場運営されている実績をお持ちなので、WN社としても是非ともその分野で協力してもらいたい気持ちがありました。

WN社創業時のパートナーであった石塚氏や藤本氏等とは最終的に決別に至りましたが、彼らのように「売上をお金で買う」という虚業と違い、実際に経営をされているJF社は何としてもベストパートナーとして水宅配事業に参入して貰いたいと思いました。JF社もその考え方には同意して下さり、証券会社を通じて資本参加の話を進めていました。
私はこのような業務・資本提携をする場合、3つの事を念頭に置いて取り組みます。
これは石塚氏らとの業務資本提携から得た教訓です。
1つは「情がある事」です。ビジネスに「情」等必要でないという経営者もいるかもしれません。この「情」とは、経営者の生き方や考え方といった波長が合うかという事です。経営も会社も結局は人間が行なっています。「情」という言葉が誤解を招くならば、「気が合う」と表現してもいいかもしれません。今から考えると、石塚氏らとの話題は「お金」が中心でした。一度も人間味を感じた事はありません。スター経営者としてマスコミ等でもてはやされた石塚氏も結局はわずかな期間に二転三転会社を変わっているところを見ると、たぶんそのあたりが問題だったのでしょう。実業の経営が未熟なので特に私のような現場から上がってきた人間は何か物足らないところを感じました。
2つ目は「お互いが損益を受ける」。片方だけが儲かる。片方だけが損をする。このような関係はダメです。喜びは双方で受け2倍にし、もし損をする場合でも双方で痛み分け出来る、そんなパートナーでなければなりません。
3つ目は「未来を感じる」。この業務提携により将来が見える、未来を感じるというものでなければなりません。1プラス1が5にも10にもなる可能性が未来に待っているという事です。
そして双方の持ち味が活かせれば一番ベストです。

そういう意味においてJF社との業務提携は、私が思い描いた3つの条件にもピッタリ当てはまるものでした。OSGは営業分野を担当し、JF社は長年の飲料製造技術を生かしてWN社の製造管理を担当する。
思えば石塚氏や藤本氏との出会いがそのような3条件を与えてくれたと言っても過言ではなく、まさに人生に無駄な事は存在しないと言っていいでしょう。しかも今回の話はJF社側より頂いた話です。神様に感謝を捧げるしかありません。「捨てる神あれば拾う神あり」の言葉を借りるならば「別れる神あれば出会う神あり」ですね。石塚氏や藤本氏との別れがなければJF社との出会いはなかったでしょう。

OSGとJF社は定期的に協議を重ね、資本参加の話を進行させながら、JF社においても水宅配ビジネスを把握したいとの意向からテスト販売を行なう事になりました。
テスト販売実施は繁忙期を避けたいと、JF社側の希望で冬場に行なう事になりました。
本来はテスト販売とはいえ、良い結果を出すには需要が盛んになる5月のGW明けが望ましいと思ったのですが、この双方の機運を5か月先に延ばす訳にいかず冬場の実施に踏み切りました。

このテスト販売に暗雲が立ち込めるとは、この時知る由もありませんでした。

(次回に続く)

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