代表取締役 湯川 剛

06年9月7日13時30分より、東京・大阪での緊急役員電話会議が行なわれました。
当時、中国では衛生部ショックもあり、その中で更に追い討ちをかけるように新事業の水宅配ビジネスにも問題が発生した訳です。二進も三進も(にっちもさっちも)いかない状態です。
グローバル化しなければ生き残れない、また事業領域を広げなければ市場縮小で大きく成長しない。そんな問題意識を持って02年2月よりOSGは新たな領域に参入しようとしていましたが、皮肉にもその新事業参入の2本柱が土台からぐらつき、それが本体の屋台骨までぐらつかせているのです。

現在のテレビ会議とは違い、役員会議は電話会議の為に顔は見えませんが、声の雰囲気から落胆している様子が手に取るように分かりました。殆どの役員はどのように意見を述べればいいのか分からないのが正直なところだと思います。人間が不安を感じるのは未来に対してです。未来は見えないのです。見えない分だけ人間は不安を感じます。積極的に行くべきだ。いやいや今のOSGでは彼らのいう通り本業を建て直しここで水宅配事業は断念すべきだと、どちらの意見も正しく、ただ管理本部長だけは「彼らの意見に従うべきです」と明確な意見でした。

本業が厳しい。中国事業も先が見えない。そんな中で新事業である水宅配事業には参入すべきではなかった。管理本部長は数年前にある人の紹介で入社しました。OSGの主力銀行出身ですが、銀行からの仲介ではありません。銀行出身だけに客観的に判断が出来るのでしょう。
客観的に見れば銀行出身でなくても、そう意見を言うかもしれません。では何故、他の役員は明確に意見を述べなかったのでしょう。それは私個人に対する想いだと思います。何かを成し遂げたいというトップの想いは、収益や資金的な問題だけで割り切れるものではありません。
結局、この緊急役員電話会議は1人の役員以外は答えを出せないままでした。

翌9月8日朝7時より、私と石塚氏藤本塾長・粟山社長とで会議がありました。
私は1時間早く6時にはWN本社のあるビルの前に来ていました。
昨夜、いろいろな考えを巡らしましたが、結果的には答えは出ませんでした。
7時での会議はWN本社の隣にある藤本塾長のR社の会議室で行ないました。私自身の考えが固まっていないので、結局はこの日も結論は出ないままでした。そこで石塚氏が「明日の土曜日にOSG役員も参加して私達とで話したい。そこで結論を出しましょう」との提案がありました。私もズルズル結論を延ばす事は良くないと思っていましたので、「責任を持って、明日の会議で最終結論を出しましょう」と伝えました。

選択は2つです。彼らと別れるのか、それとも彼らの意見に同意するかです。すなわち増資を受け入れ、OSGの出資比率を下げ株主としてWNに残るのかの二者選択です。OSG本体が活発な実績を上げておれば何も悩む事はない訳です。しかも2ヶ月前には華々しくWNの役員・出資者のメディア発表も行なっている訳です。もし彼らと別れてOSG主導の下でWNを運営したとしても、その反動はどうなのか。僅か数ヶ月で経営陣が分裂した。この事は現在、加盟店募集している経営者の皆様方にどのような影響を与えるのか。
もしかすれば新聞やテレビ等に登場している石塚氏や藤本塾長が参画しているから加盟店募集セミナーにも参加し、水宅配ビジネスに興味を持ってくれているのかもしれません。

同日夕方に昨日と同じ様に東京・大阪での電話会議が再度開かれました。
「昨日に続き、みんなの意見を聞きたい。明日、WN役員とOSG役員との合同会議があり、この席上で全てが決まる。明日の合同会議までにOSGの方針をここで決めておきたい」が冒頭の挨拶でしたが、会議は結局、昨日と同様の雰囲気でした。
OSG役員も「悩んでいる」というより「分からない」というのが本音でしょう。

私は「明日13時の合同会議には全員が参加し、相手の意見を聞いて貰ってもいい。尚、私に一任する事で本日の会議の結論とするがいいか」と伝えましたが、私自身、何が正しい決断なのか、その時点ではまだ分かりませんでした。

「彼らと別れるべきか」「彼らの意見に同意すべきか」
15時間後の「OSG役員・WN役員 合同会議」に、私はどう判断すべきか。

(次回に続く)

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