代表取締役 湯川 剛

毎年7月に行なう天然社の全国代理店会議。場所は中国の名山という会場で行ないます。
07年は湖南省の張家界でした。ただこの07年の全国代理店会議には、従来の会合とは別に2つの特別な意味合いがありました。
その1つが全国代理店会議の運営の中心部にいた筈の金鋭氏がいないという事。それに対して全国代理店がどのような気持ちで動いているのか、互いに確かめる意味があって参加しています。2つ目が新しく変わった大株主から派遣された新菫事長の考え方を確認する為です。今後の運営がどうなるのか、不安と期待の下に集まってきた訳です。
そのような状況下での全体スピーチです。私の立場は明確で、全国の代理店に天然社が取り扱う製品を納品している一企業でしかありません。言って見れば単なる納入業者です。
つまりこの代理店会議参加の全てがお客様なのです。勿論、私だけが納入業者の立場として参加しているのではありません。寝具等の納入業者ら数社も参加していました。納入業者の立場として、彼らの話す内容は「代理店の皆様、いつもお世話になります」「代理店の皆様には感謝しています」「これからも我社の製品をよろしくお願いします」ばかり。
そのような意味において私のスピーチは「お客様に向かって話す内容」からは大きく外れていました。経営者の心構えを説いている訳です。

衛生部ショックから立ち上がって大きく会社を伸ばしている代理店がある一方で、衛生部ショックを言い訳に現状維持、もしくは縮小の途を辿る代理店に向かって「激を飛ばしている」のです。
前回からの続きです。

「皆さん、この場所に誰がいないか分かっていますね。あなた方を育成した金鋭前菫事長です。私は金鋭前菫事長によってこの中国を知りました。そして皆さん方を知りました。私は今、寂しいです。我社にとって強力な協力者を失い、また天然社の代理店も強力な指導者を失い、羅針盤を失った船が漂流している感じです。ここで本当にみんながしっかりしなければ、金鋭前菫事長が何の為にあなた方を各地域の代理店社長として育成してきたのか。金鋭氏がいない、こんな状況だからこそ逆にしっかりしなければいけないのです。しっかりしましょう」
気付けば、話すというより訴えるような口調になっていました。その私の口調は、通訳する社員さんの声にも自然と熱が帯びていくようでした。そして不覚にも、私の目には熱いものが溢れてきました。心の底から金鋭兄弟がいない事を寂しく思いました。なぜ私はこの舞台にひとり立ち、大勢の代理店の前で話しているのか。何故ここに金鋭兄弟がいないのか。何故こんな気持ちになるのか。自然と涙が流れました。
すると会場に居る500人の代理店の人達からもすすり泣く声が聞こえていました。
そして大きな拍手が起こりました。私は大きな声で「加油(チャーユー)」を連呼しました。
すると会場の全員も拳を振り上げ「加油」「加油」「加油」と応えてくれました。

日本での場合、こういった舞台では左右に幹部の人達や来賓が座っているものですが、中国の場合は最前列に座ります。その為、天然社の幹部や新しく就任した菫事長の顔も、舞台からはっきり見えます。多分、彼らの気持ちは複雑であったろうと思います。
開会式が始まって、幹部や主要代理店の経営者が話す内容は単に方針発表等を述べるに過ぎませんでした。「檄を飛ばす」「叱咤する」「全員が一つになる」は必要でなかったのかも知れません。ではこれまでの全国代理店会議において、そのような現象がなかったのかと言えば、そうではありません。それを担っていたのが金鋭前菫事長でした。

けして金鋭兄弟の代わりにやろうなどと思っての事ではありません。
ただ自然の流れとして起こった結果でした。

(次回に続く)

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