代表取締役 湯川 剛

中国でのアルカリイオン整水器の基準は次々と制定されていき、二度とこのような衛生部ショックはないとの思いでやっていましたが、その効果が出るのは衛生部ショックが収まった数年後の事で、目の前の衛生部ショックによる売上低下は避けて通る事は出来ませんでした。

そんな売上不振の中国OSGの天然三愛に、救世主が現れるような連絡が入りました。
当時中国において白物家電では中国ナンバーワンから世界ナンバーワンになると言われていたH社から「OSGの電解槽を是非我社で採用したいので、本社がある青島まで来てくれないか」と日本本社に連絡がありました。
H社といえば、中国の高度経済成長の牽引車として代表選手のような国営企業です。
当時は「17年で売上高17000倍」等、中国最大最強の企業グループH社の戦略という本が日本の書店にも並び、当然私も読んでいました。H社グループの成功は、20世紀の中国産業界にとって1つの奇跡といわれ、倒産寸前のH社がNYマンハッタンのビルを買収するまで急成長し、中国国内の各企業はH社に続けと言われ、日本企業もH社の急成長の秘密を学ぼうとH社に関する書籍が数多く出版された訳です。そのH社からの連絡です。

06年6月26日、私は成都から青島に技術者と共にH社を訪問しました。私自身が知る日本の工場では考えられないような巨大な建物がそびえていました。まさにH社の急成長をこれ見よがしのような感じです。正直、私の胸はワクワクしてきました。どのような商談があり、それがOSGの中国進出にどのように影響するのか、いつもの妄想が出てきました。広い敷地の中で目指す棟に行きますと若い社員が数名待機していました。みなさん、誇らしげな感じです。若い社員の案内で部屋に通されました。外観とは違い、棟の中や部屋はそれ程の近代的な構造ではありませんでした。部屋に通されるといきなり事業部長が参りますとの事です。

数分程待つと日本での大手企業では課長クラスのような感じの事業部長が入ってきました。
年齢は40歳との事です。数千人の部下を率いていると横にいた秘書が事業部長を紹介しました。事業部長の話では「H社は中国を代表する国営企業ですが、民間企業に負けない位に革新的な企業です」「我社がここまで大きく飛躍したのは常に新創造をテーマにしているからです」とH社が如何に素晴らしいかを説明しました。

その後に本題に入りました。「私達は洗剤を使用しない洗濯機を生産している」との事です。
「夢のような製品ですね」と私が言ったところ、「私達は環境問題にも関心を持っています。環境問題で河川の汚染の原因になっているのが、工場排水です。それと同じ位、いやそれ以上に河川を汚染しているのが家庭からの排水です。私達は洗剤を使用しない洗濯機を既に中国全土でも販売し大きな評価を得ている」との事でした。

私が「夢のような製品ですね」と言ったのですが、既に日本では三洋電機が「洗剤のいらない洗濯機」を売出していて成功したという話は聞いていませんでした。洗剤メーカーが大反論をし「洗濯機のいらない洗剤が作れる」という内容であったと記憶しています。そういえば三洋電機とH社は業務提携をしていたなと思い出しました。いずれにしろ、ここは日本ではなく中国です。何も日本のモノサシで計る必要はありません。中国ならH社なら日本のような洗剤業界と論争しても押し切る可能性もあります。むしろ我々OSGがそこで何をするのか、多少の予測はしていましたが、この「夢の洗濯機」にOSGの飛躍を賭けてみたいと妄想を現実に引き戻して私は事業部長と面談していました。

「で、OSGは何をすればいいのでしょう」

(次回に続く)

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