代表取締役 湯川 剛

厳しい冬も過ぎ、少し暖かくなり始めた3月から4月頃。私にとって行動しやすい季節になりました。春は好きです。厳しい冬も好きですが、それに耐えて花が咲く春は好きです。野辺に咲く花を見ながら歩くと、気持ちが癒されます。私は相変わらず毎日歩け、歩けの連続でした。「オレが無名な浄水器を世に広めてやる」なんて、何か普及活動をしているような、そんな気持ちで歩いていました。「ソレ、ナニ?」は殆どのお客様の声です。それは私が初めて浄水器に出会った時の第一声の「ナニ、これ?」と同じですから、お客様の声はちっとも不思議ではありませんでした。

ここで簡単に浄水器の仕組みを説明します。浄水器の使用目的は、簡単に言うとカルキ臭さを活性炭で取り除く事です。カルキ臭とは、『塩素』の臭いです。では何故、塩素が水道水の中に入っているのでしょうか。それは万一、水道管などに病原菌(例えば大腸菌など)が入った場合に塩素が殺菌してくれるからです。だから塩素は水道管の蛇口までは大事な役目があるのです。ただその為に「塩素臭くて飲めない」のです。そこで活性炭の持つ多孔質な表面で化学反応や吸着力を働かせ、残留塩素やカルキ臭、カビ臭、そして有機物を水道蛇口で取り除くのです。しかしあれから35年が経ちましたが、今日の浄水器は当時と比較にならない位に役割が大きくなっています。単にカルキ臭と思っていた塩素が有機物と結合する事によって発ガン性物質のトリハロメタンが発生したり、最近では配管から鉛が溶出することもある事が判明。鉛は幼児の知能障害の元になる可能性があるとも言われています。また塩素でも死なない原虫クリプトスポリジウムによる被害(1993年米国ミルウォーキー地域で40万人が発症し、約400人が死亡。96年に埼玉県越生町で国内初めて水道水からクリプトスポリジウムが検出。8800人が下痢や腹痛を訴える。)もありました。これも当時の浄水器では対応できませんが、現在では中空糸膜というろ過膜があり、35年前と比較出来ない位の役割を持っています。

まだまだ水道水の実態と浄水器の役割について書きたい事は山ほどありますが、ひとまずこの程度にしておきます。ともあれ当時はそんな大きな役割を担うなど夢々思っていませんでした。ただただ「ナニ、コレ」の説明に明け暮れ、一軒一軒説明に回ったものです。

今や1500万所帯のご家庭で浄水器を使用され、大阪や首都圏ではなんと2軒に1軒の割合で普及され、全国平均約31%となっています。当時から今日の事が分かっているなら、私は「浄水器王」になっていたかも知れません(笑)。でも間違いなく「浄水器の伝道師」という自負はあります。1軒1軒の声掛けが冬から春にかけ、少しずつですが手ごたえを持つようになりました。軒下を借りた「社長ひとりだけの会社」から脱皮しようと思った春が来ました。

(次回に続く)

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