代表取締役 湯川 剛

私の愛読書である「信念の魔術」(第10回に掲載)の教えに従って、「念い(想い)は実現する」は文字通り独立を実現させてくれましたが、いきなり数ヶ月も経たないうちに大きな壁に阻まれたのでした。会社を作りたいという気持ちはありましたが、化粧品の販売会社を作りたいという気持ちは全くなかったので、行きがかり上の業種でした。それまで化粧品など全く無関心であり、化粧品ではないが肌に合わない(笑)業種だなと思いながら数ヶ月間の研修を受けて、いよいよ販売といったところで頓挫。さぁ、どうしたらいいだろうかと思っていたところに、この浄水器との出会いがあったのです。

「これは化粧品より、自分に性が合っているな」と、むしろ公害に多少の関心を持っていたので、何となく市場性の広がりを感じていました。しかし当時はまだまだ「お金を出して水を買う」などという生活文化もなく、周囲は当然反対多数の状況でした。

でも背に腹は変えられない、とりあえず部下を食べさせなければいけないと、福原さんに「コレ、どうしたらいいのか」と尋ねたところ、浜松の浄水器メーカーが大阪進出を計画しているとの事でした。大阪支店長を紹介してあげようという事で、早速翌日に訪ねて行きました。

その会社は浜松に本社があり、東京・大阪・福岡などに拠点があり、100名を超える規模の会社でした。何と私達の会社から徒歩5〜6分のところに新しくオフィスが出来たという事でした。早速面接をして貰い、代理店になる事で話が決まったのですが、そこで私はその支店長さんに会社設立前からこの数ヶ月間の状況を説明し、2つの事をお願いしたのです。

ひとつは、「会社の什器備品や中古車の社用車を買い取ってくれないか」という事でした。そしてもうひとつは「社員を引き取ってくれないか」というお願いでした。この数ヶ月間に、人の紹介などで5人ほど増え、この機会に辞めた人もいて、7名くらいになっていました。自分の大事な社員でしたが、今後数ヶ月食べさせるだけのチカラがない。必ず軌道に乗れば引き取るからと、その支店長さんにお願いした訳です。

社員に詫び、その理由を話したところ、「必ず引き取って下さいよ」と、快く引き受けてくれましたが、中には小さな会社より浜松の会社の方が安定もあり、喜んで行った者もいました。

その瞬間、「社長ひとりだけ」の一番小さな会社になったのです。会社を倒産させる訳にいかない。しかしこのままではダメになってしまう事は、目に見えて分かっていました。裸のつもりで再スタートしようと思いました。

「必ず戻ってくるから」と5坪の事務所を引き払い、大阪支社の同じフロアーに小さな部屋を借りたのが、2月の終わり頃でした。

(次回に続く)

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