代表取締役 湯川 剛

私はどうも相手の土俵で相撲を取る事を嫌う傾向があります。
相手の土俵でやむを得ず相撲を取らなきゃならない場合でも、如何に自分の土俵に引きずり込むかを考えてしまうのです。今回の「トップ面接」に対しても、「最後は自分の土俵で」という心情が働いたのだと思います。

トップ面接の翌日、私は証券会社の常務との面談予定が入っていました。
常務は面談の中で、前日の夕食会の席上でトップ面接の面接官であった審査部部長から
「湯川社長には気をつけた方がいい。体を張ってきますよ」とアドバイスを受けたと打ち明けられました。
「社内では周知の事実。それにしても審査部との面接内容は一切口外しないといいながら、いい加減なものだ」と私は常務と大笑い。緊張と笑いの「トップ面接」が終わりました。

5月16日、朝日新聞の一面に「水特集」の記事広告が掲載されました。家庭用浄水器が大々的に取上げられ、勿論、我が社の製品も大きく取上げられました。創業当時の30年前を思い出せば、夢のような話です。朝日新聞が浄水器という商品を知らず、我社を中傷する記事を掲載し、当時、どれだけ苦しんだか。それがなんとその朝日新聞が浄水器特集をしているではありませんか。全面の記事広告を見ながら、多くの苦難を乗り越えてここまで来る事が出来たのだなと改めて思いました。まして我が社が株式公開に挑んでいる等、その当時、誰が想像するでしょうか。

トップ面接から2週間が経った5月22日、東京・丸の内の証券審査部に呼び出され
「トップ面接の結果は合格です」
正直、あっけない答えに拍子抜けした気持ちで大阪に帰りました。
次は、ジャスダック審査が5月28日より開始されるとの事でした。
6月に入るとIR活動の打合せや株価の事前打合せ等、次から次へと初体験の連続でした。

そんな中、準備を進めていた第2回ウォーターサミット 東京会場が東京ドームホテルにて行われ、同時に殺菌水初の展示会も6月27日に開催されました。前回のラスベガス会場から更に参加国が増え、ノルウェーやスウェーデンの大学からも参加しました。
自分でも感心する位、多数の案件が同時進行の状況で、常に時間が足らない状態でした。
株式公開の為の準備だけでも次から次へと課題がある中を、明るさの磁場経営セミナーを銀行主催で行なったり、我が社の宝である新卒社員向けの企業セミナーや学生懇親会にも神経を使う、そんな日々でした。そんな多忙極める中でのウォーターサミット開催でしたが、結果的には第1回目よりも更に充実した会合になりました。殺菌水の展示会も成功し、多くの方々の協力を得て、感謝の気持ちでいっぱいでした。

同時多発思考は朝から寝るまで続き、気力・体力のある間はフル回転しようと当然、休日返上の毎日でした。この機会を逃してはいけない。この苦しみから逃げ出してはいけない。苦しみを真正面から受け止めてこそ成就するのだと言い聞かせていました。
もし苦しみから逃れようとした瞬間、今まで積み上げてきたものが全て消滅するような思いに駆られていたのです。当時は何かに取り憑かれたかのように走っていました。熱病に等しい位、ただまっしぐらに「株式公開」の4文字に向かってひたすら走っていました。

日記を開いて、自分でも理解できない記録が残されています。6月30日(土)の日記です。
その日の出来事は、1年生を除く全社員に思い出作りの写真を撮ろうと呼びかけました。株式公開前と後、すなわちビフォー(使用前)・アフター(使用後)のみんなの写真を撮ろうという事が、この日の日記でした。その書面の大半を使って書いていたのが、サラリーマン川柳です。

当時は日記を見てもその中から伝わってくるような緊張の連続でしたが、そんな厳しい状況の中だからこそ、何とか生活の中に笑いを忘れないと思ったのか、サラリーマン川柳(※)を書き写していました。「忙中閑あり」でなく、「忙中笑あり」か。

※ 「サラリーマン川柳」は、第一生命のHP(新しいウインドウが開きます。)に掲載されています。ご参照下さい。

 

後記

前回(207回)の「隠し○○が・・・」の ○○がいろいろ社内外で憶測を呼んでいるらしいです。(正直、それが狙いであった事も確かですが・・・笑)
しかし、全く違った事を考えられる読者もいて、多少困っています。
そこでヒント。ひらがな(カタカナ)も漢字もまさに ○○の2文字です。
勿論、違法や反道徳的なものではありません。極めて健全なものです。(笑)

(次回に続く)

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