代表取締役 湯川 剛

「みんないいか。この僕についてきてくれたおかげで、小さな会社がもうじき誕生する。ありがたい事と思っている。しかし、いくら会社やからと言っても、社長と呼ぶのはちょっと待ってほしい。年齢だけではない。やはり会社の規模や。会社を設立するのは、法務局に行ってなんぼかの登録費を払えば登記されて設立出来るかもしれん。でもやっぱり中味や。中味の無い会社に社長もくそもないぜ。だからこれから、僕の事を社長と絶対呼ばないでほしい。中味が出来てその自信が出来たら、呼んでもらおう。でも今はお預けや」と優文は、顔は笑っていたが真剣な目で言った。

一番若い博行が「社長のいない会社か、・・・おもしろいなぁー。それじゃ、専務とか部長はどうしますねん。」
「それもなしや。みんな第一線の営業マンや。そしてみんなは、この会社を知って貰う為の宣伝マンや。人脈も無いし、信用だってこれからで今は無い。資本金もわずか100万や。そんな小さな会社を相手にしてくれるかどうかが問題や。でも人なし、物なし、金なし、信用なしの無い無いづくしやけど、自分達にあるのはガムシャラなファイトだけや」
優文は、これからやろうとしている事の期待と不安とそして、この自分についてきてくれる4人に対しての責任感で、自分でも驚く程力強く、そして自分自身にも言い聞かせるように言った。4人は一瞬シーンとなったが「その通り。よし、やろうじゃないか!」と歩が大きな声で言った。
「よーし、やろう!」歩の声が、5人の同志の音頭となって、お互い「やろうじゃないか」と言い合い、堅い握手を交わした。

5人の目がキラリ輝いたのは、決して花火のせいではなかった。

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と、小説風に書けばそんな感じでした。(笑)
登場人物の名前は違いますが、言った台詞はほぼ間違いのないものです。
これから35年間という長い長い「社長業としての闘い」が始まる訳です。勿論、この屋根の上の花火見物の時点では知るよしもありません。

七転八倒。四面楚歌。危機一髪。断崖絶壁。寸前暗黒。・・・汗と涙と怒りと不安と緊張の35年でもあり、夢と希望と誇りと達成感の35年の闘いの火蓋が切って落とされた感じでした。

花火大会から4週間後の8月29日に、法務局に「株式会社大阪三愛」の社名を登録。この日を会社創立日としたのでした。
いろいろな体験をした35年間でありましたが、今年も暑い夏が来て、35回目の8月29日を迎える幸せを感じます。

(次回に続く)

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