代表取締役 湯川 剛

この「人生はプラス思考で歩きましょう!」に登場する話はタイトル通り、大きな失敗や障害に直面してもプラス思考で急場を切り抜けたり、時には逆転の発想で上手く乗り越えた過去の話を取り上げていますが、今回は失敗を失敗のままで終わらせてしまった、私にとって悔いの残るお話をします。

さて、この世にもし「敗者復活戦」というものが無ければ、私はとっくの昔にくたばっていました。
「敗者復活戦」という言葉は、私の為にある言葉だと感じる程です。それ程、数々の失敗を経験しました。そんな枚挙にいとまが無い程「失敗談」があっても、なかなか「失敗に終った」話材として登場しないのは、いつまでも失敗した事に囚われているのではなく、すぐに思考を切り替える癖が身についているからかも知れません。失敗を失敗のまま放置せず、如何にすればこの窮地から脱出できるか。そうして失敗を糧に跳ね返してきた事やそこから得た教訓は忘れる事はありません。しかし中には失敗のまま逆転出来なかった経験もありますが、そんな「失敗話」は正直殆ど覚えていません。そこは私の思考回路が、都合良く出来ているのかもしれません。

私にとって悔いの残るお話、それがこの年(1986年)にオープンした店名「ヘルスコレクション」です。
店名通り、健康に関する製品を取り扱う店舗ビジネスです。
第1号店として奈良のダイエー西大和店の中にオープンしました。初めての店舗経営です。
私はスーパーを経営していた父親の倒産から、いわゆる「待ち」の店舗経営には非常に抵抗がありました。学生時代にアルバイトという形で父親の仕事を手伝いながら常に感じていた事ですが、お客様が来てくれないという状況は非常につらいものです。当時の私に「如何に来店して貰うか」といった発想やノウハウなどある筈もなく、「待ちの商売はイヤだ」とずっと思っていました。よって店舗経営をしたからと言って、何のノウハウもない私にとって、将来の成功図はなかなか描けるものではありませんでした。ただ唯一「やろう!」と思ったのは、これからの時代に必要な分野で、しかも他社があまり手がけていないと思ったからです。このビジネスのコンセプトは、薬局・薬店置く商品でもなく、かと言ってスポーツ店に置く商品でもないが、「元気・健康」に関連する商品を扱う、いわば薬局とスポーツ店の中間に位置するようなものでした。アイテム的には家庭用低周波治療器などの治療器分野や家庭用血圧計やヘルスメーターやルームランナーに代表する健康管理・増進機器です。現在で言うところのテレビショッピングなどで扱っている健康機器から、介護の車椅子などもありました。
勿論、当時は殆どの人が関心も無く、来店するお客様もまばらでした。

毎月赤字の連続でしたが、このような新しいビジネスはそんな簡単にいくものではないと自分に言い聞かせてやっていました。店の存在を知ってもらう為にアントニオ猪木さんにイベントを手伝って貰った事もあります。しかし「待ち」の商売はなかなか上手くいくものではありません。
その内に場所的にも大阪市内中心部から車で2〜3時間近くかかる事もあって、私が店に行くのも徐々に少なくなりました。それじゃぁ、近くで…と堺市にあるニチイ(現マイカル)金岡店に第2号店をオープンしました。その結果、赤字は更に倍になり、2号店オープンから6ヶ月目で「ヘルスコレクション」は閉店する事になりました。本来ならばここで教訓を得なければなりません。
一生懸命「プラス思考で考えるなら、この失敗で何を得たのか」と当時は必死に考えましたが、出てくる答えは「待ちの商売は、お前には出来ない」以外、答えを見出す事は出来ませんでした。それ以降、店舗経営には手を付けず、今日に至ります。店舗経営をしている経営者の方を見る度に尊敬しています。

もし今後チャンスに恵まれ店舗経営のお話があれば、それは勿論挑戦してみたいと密かに思っています。
それは「ヘルスコレクション」から得た教訓を活かしたいと思っているからです。
そうでないと「人生はプラス思考で歩きましょう!」に合わないからです。

ちなみに「ヘルスコレクション」という店名は気に入り、今も商標権は持っています。

(次回に続く)

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